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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球/シェルガイ-最悪。

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122/155

第122話 少し遊びをしてください。

新生活は早2ヶ月が過ぎた。

雲平はシェルガイに行っていた分の補修授業を受けながら、日本とシェルガイの二重生活を始める。アグリ達はセムラの護衛をしながらメイン活動をジヤーにして、日中は訓練、夕飯は安倍川家に帰って、そして週末は一日中シェルガイで過ごしたりする。


案外かのこはいい加減な所もあり、孤独に慣れ過ぎているので、何日も四六時中家にいられてもストレスになる。なので居ない時間があるのも有り難そうにしていた。


雲平は細々とした魔法を開発していて、市街地戦や屋内戦を意識してファイヤーボールなんかでは大きすぎる時には、ファイヤーバレットなんかの小型化した魔法を考えついてジヤーやレーゼに指導していく。

金太郎はビャルゴゥ護衛隊から城勤めになってしまい肩を落としている。


2ヶ月後のオシコの4ヶ月には備えられている。

そう思ってしまっていた。


どうしても油断が生まれ、油断は日々スクスクと育っていく。


あんことかのこはホイップからどうしても国賓で招きたいと言われ、バニエと日本政府から頼まれたこともあって、ジヤーに顔を出して夢のような扱いを受ける。

日本で会ったシェイクも格好良かったが、正装に身を包みエスコートをするシェイクと、下町では子犬に見えてしまったホイップもしっかりとしていて見違えている。


「まあ!ホイップくん!キチンとしていて、堂々としていても嫌味に感じないのは立派だわ!お婆ちゃんは晴れ姿を見られて嬉しいですよ!」

「全部かのこお婆様のおかげです」


ホイップ達は2ヶ月で立派になったと城の家臣達からも評判がいい。


だがやはり外敵が居ない以上ダレる。

成長も頭打ちになる。


コレに関してはビャルゴゥから、「やり過ぎだ。セムラ姫と安倍川雲平とクラフティの3人で結界を張り直したから、漏れ出るのは空気くらいだ」と言われてしまう。


そう、魔物達は2ヶ月でほぼ根こそぎ狩ってしまうと何も出てこなくなってしまった。


完璧にコジナーの地に追いやってしまっていた。



・・・



オシコの宣言した4ヶ月後。

初めは身構えたが大した問題は無かった。


「ビャルゴゥ、オシコの攻撃ってどうなるの?」

「起きている」


「それって大丈夫なの?」

「ダメだな」


「は?どうすんだよ!」

「言っただろう?対処していくしかないと、始まっているがまだ何ともならない」


この時、雲平達はまだ何も気づいていなかった。



雲平はミスティラを呼び、セムラとかのこと4人でオシコの攻撃について考えたが、悩んでも答えは出なかった。


「そもそも何らかの準備を終えたオシコが一斉攻撃をしかせてくると思い、国境側に見張りを増やしたのです」

「それは間違いではなかった。現にコジナーとの結界沿いには魔物達が闊歩していた」

「だから開戦と同時に俺が国境中の魔物達を蹴散らすつもりで待機していました」


ここでかのこが「でも鯉の神様は地球でも戦いになると仰ったのよね?」と口を挟む。


「でも猪苗代湖のゲートは閉じたし、魔物がこっちに来るのは不可能だよ」

「なら鯉の神様に聞いてみなさいな」


かのこの言葉に「それをしちゃダメなんだよ。ビャルゴゥは未来が見えているから、ヒントになる事を与えると、それを回避しても、もっと酷い未来になるんだって」と雲平が説明をすると、ミスティラは「だから雲平は世間話として情報を得ていたな」と相槌を打つ。


かのこは「あらあら」と言うと、「雲ちゃん、お婆ちゃんは鯉の神様とお話ししたいわ」と言うので、ゲートを開いてアグリからビャルゴゥリングを預かるとビャルゴゥを呼ぶ。


「ビャルゴゥ聞いてた?」

「聞いていたがヒントは出せぬぞ?」

「ヒントではありませんよ鯉神様。雲平とアグリ、アチャンメとキャメラルの祖母でございます」

「見知っている。安倍川かのこ」


かのこは恐れる様子もなく「少し遊びをしてください」と言った。


「遊び?」

「はい。連想ゲームです。ヒントだけだとダメですけど、虚実を混ぜてキーワードを5個言ってもらって、それで雲ちゃんとセムラちゃんとミスティラさんが一斉に答えます。外れていたらハズレ、当たっていても誰が当たったとは言わないでください」


一瞬悩んだ後、ビャルゴゥが「…ギリギリの所で遊びになるか…。いいだろう」と言うと、「ワード1はコジナーのゲート、ワード2は半魔半人、ワード3は井村あんこ、ワード4はシェルガイ、ワード5は安倍川雲平、ワード6はセムラ・ロップ・レーゼ、ワード7はホイップ・マド・ジヤー、ワード8はカヌレ、ワード9はシェイク・レーヌ・ジヤーだ」と言った。


「9個だ」

「そうしないと介入になってしまう所だった」


テーブルに置いたビャルゴゥリングを眺めて話を聞いていると、「話し合いはダメよ。各々が思った事を鯉神様に言うのよ」とかのこが話を進める。


「マジか」

「むぅ、困難だな」

「頑張ります!」


15分後、紙にワードを書き出した雲平は、「株分けした半魔半人をコジナーで増やして俺たちを狙う」で、セムラは「コジナーが私と雲平さんの仲を割こうとしている」で、ミスティラは「半魔半人の株分けに雲平並の能力を付けさせるか?」と聞くように書き、「聞くな不死者」と返される。


ビャルゴゥが「ハズレだ」と言った時、かのこは「私も!私も答えたいです!」と言って、「前の雲ちゃんの言葉と、あんこちゃんとホイップくんで考えました!悪いゲートの側を通った日本人が、あんこちゃんみたいになって、ホイップくんみたいに強くなるとかどうでしょう?」と言うと、ビャルゴゥリングから困った声で「遅れて言うのは反則だ。安倍川かのこ」と聞こえてきた。


かのこはコロコロと笑いながら、「あら、じゃあ反則負けですね。残念♪」と答えていた。

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