表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
シェルガイ-レーゼ城での決戦。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/155

第113話 我々は勝った!

耐えきれずについに崩れ落ちるセムラを見て、ブランモン達は心配を口にして雲平は助けるから信じてくれと言い続けている。


「シュザーク!ビャルゴゥ!グェンドゥ!スェイリィ!何か方法を言え!」


キレた雲平の声に、ビャルゴゥが「私の浄化の水で消し去るか?」と聞くと、グェンドゥが「僕の風であの身体を覆うキョジュの魔法を吹き飛ばそう。死者を動かす魔法は無理でも、夢からなら醒ませられるよ」と言い、スェイリィは「本来なら我が力で土中深くに埋葬してやりたいが、恐らくキョジュの魔法は残る。土の中で苦しみ、浄化の水も苦痛しか与えない。身体から魂を解放してやれ」と言うと、シュザークが「そうだ、我が炎で解放してやれ」と言った。


「グェンドゥ、やり方を言って」

「雲平の魔法力でキョジュの魔法を吹き飛ばす風を吹かせて。死者を動かす魔法は体に染み付いてるから取れないけど、夢からは醒めるよ」


雲平が魔法を使おうとした時、今は多勢に無勢で、雲平はカオスチタンの剣を振いながらシュザークウイングを周囲に飛ばしていて、そのシュザークから「姫に選ばせろ」と言われる。


「シュザーク?」

「セムラ姫、この者たちに夢を見させたまま我が炎で消し去る事も可能だ。夢から醒めれば耐え難い苦痛と屈辱が待っている。それでも姫は夢を終えさせるか?」


「シュザーク様?」

「選べ。お前はレーゼの女王になる」


ブランモン達はシュザークの声が聞こえずに、今も必死に雲平を助けようとしてくれている。


雲平の手で葬るにしても、仲間だと思っている人間の火で送られるなんてあんまりすぎる。


「雲平さん…お願いします」


セムラは座り込んだ大地に向かって、涙を流しながら言った。


「グェンドゥ!魔法飛ばしの風だ!」


雲平の声で突風が吹くと、ブランモン達の動きが止まり、苦悶の顔に「我々は…何を」「い…痛い」という声と共に悲痛な叫びが聞こえてくる。


そして「あの時、クラフティ殿下の攻撃で死んだ」、「あのオシコに殺された」と言って目が覚めたブランモン達はセムラと雲平に気付く。


苦しみながらも「姫様…ご無事……でしたか」と声をかけるブランモン。


「ブランモン!私は…すみませんでした」

「…死してレーゼの草になり…花となる。本懐です」


そう言ったが、カケラが残れば魂は解放されず。更に苦痛が待っている。


涙を流してしまうセムラを見たブランモンは、「それすら叶わないのですね」と言って雲平を見ると、「頼もしい姿。歴戦の強者の姿だ。姫様をお任せしたことは間違いではなかった。我がブランモン隊は無駄死にではなかった」と苦痛をものともせずに話した。


「すみません。俺がオシコを殺そうとしたからブランモンさん達が」

「いや、戦える時に戦う。殺せる時に殺す。必要な事です。その空飛ぶ剣は?」


雲平がシュザークウイングだと伝えると、ブランモンは声高に喜んで「神獣武器!これでレーゼは救われます!雲平殿…セムラ姫…いえ、女王陛下をよろしくお願いします」と言った。


「…わかりました」


雲平の返事に感謝をしたブランモンは、セムラに「姫様、泣いてくださりありがとうございます。陛下と同じ所に行けるかわかりませんが、私は陛下や姫様のお母様や殿下のお母様にも、レーゼはなんの心配もいらないとお話ししましょう。姫様の人柄についてきてくださる雲平殿のような丈夫が居てくださる。その方は神獣武器の担い手で、姫様の未来を明るく照らしてくださると言います」と言った。


泣きながら「ブランモン…」と言うセムラに、ブランモンは「笑ってください。姫様の笑顔が、我々兵士には褒美になります。あの日申しました。我々は姫様の為の消耗品。神獣武器を手にする方と姫様の為に使えた命、本望です!」と言い切る。


ブランモンは雲平に切り飛ばされて立ち上がれない兵士の元に行って、「手を貸す!立て!」と言って苦しむ兵士を立たせると、「全員手を貸しあえ!ブランモン隊集合!」と言った。


全員がブランモンを中心に集まると、「我らの死は無駄ではなかった。姫様はレーゼをお救いに戻られた!傍にはあの日、我々が身を挺して守った雲平殿が神獣武器の担い手として戻られた!誉だ!我らの行為がレーゼの為になった!喜べ!」と声をかけると、全員が弱々しくだが「やったぜ」、「ざまあみろコジナー」と言って苦痛に顔を歪めながらも笑う。


「そうだ!我々は勝った!笑え!笑って姫様に敬礼をしてお別れを言え!」


全員が苦痛をものともせずに敬礼をして笑うと、「姫様、レーゼをよろしくな」、「ここでブランモン隊は終わりでごめんな」と口々に言う。


雲平は泣いているセムラの横に行って、「セムラさん、立つんです。キチンと一人一人の顔を見て、ブランモンさん達を送りましょう」と言って手を差し伸べると、雲平の胸で声を上げて泣いたセムラが一通り泣くと、キチンと立ち上がり、セムラとしてではなく姫として言葉を贈る。


「ブランモン隊、あなた方のお陰でジヤーに撤退できました。雲平さんはビャルゴゥリング、グェンドゥハンマー、シュザークウイング、スェイリィスピア、全ての神獣武器に選ばれた戦士です。貴方達の先見の明にはこのセムラ、心の底から感服しました!ありがとうございます。これより我々は兄クラフティを討ち、レーゼを太平に導きます!」


雲平が全ての神獣武器に選ばれた事を知ったブランモンは喜びに震えると、隊員達に「私達は間違って居なかった!喜べ!」と言い、喜びに沸く隊員達を見ながらクラフティの部屋の方を見て、「殿下!レーゼはこれで救われます!おさらばで御座います!」と言うと、雲平に「神獣武器のお力で我々の後始末をお願いします」と言った。


「はい。あの日、皆さんのおかげで撤退出来ました。その御恩に報います。シュザーク!撃つぞ!インフェルノフレイム!!」


雲平の放った火は一瞬でブランモン達をこの世から消した。


気付くと他の兵士達は、裏庭が気になり見にきていて、ブランモン隊が荼毘に付される姿を見て敬礼し、使用人達は泣いて居た。


その中でも鼻で笑う半魔半人達はキレた雲平の手で焼き殺されていた。


「この土地にお前達はいらない。消えろ」


そう言った雲平は「セムラさん、一度休んだらクラフティの所に行きます」と言ってセムラを抱きかかえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ