表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-襲われた地球。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/155

第108話 終わった。サモナブレイドは手に入れたよ。

深夜0時。

雲平はセムラと夜の散歩に出かける。


日常を装う為に決してお別れやお見送りなんてしない。

夜ご飯の後で簡単にお別れは済ませた。


「アグリ、ビャルゴゥリングをよろしく。街を守って」

「うん。お兄ちゃんの居ない間はしっかり守るよ」


雲平は笑顔のアグリを見て感極まると、アグリを抱きしめて「アグリに会えて良かったよ」と言う。アグリの方は一瞬驚いた顔をした後で、嬉しそうに笑って「なにそれー」と言って雲平を抱きしめ返した。


アチャンメとキャメラルも「仮に追いかけて良くなったらすぐに行く」と言ったが、雲平は「洋上で狙われると困るよ。シェルガイの状況はアグリから聞いて。父さんはどうでもいいから、ばあちゃんやあんこをお願いね」と言う。


あんこは「帰ってきなさいよね」と言って雲平に抱きついて涙を流すと、雲平はあんこの背中をさすりながら「甘えん坊だな。アグリ達をよろしくね」と言う。


その姿にホイップは呆れながら雲平は何もわかっていないと見る。


セムラも全員と挨拶を交わし「雲平さんだけは必ず日本に」と言うが、皆からセムラも居てこそだと言われてしまった。


「あんこさん」

「何?怖い事とかは全部雲平に押し付けちゃいなね」

「雲平さんは必ず日本に…あんこさんの元に送り届け…」

「だから私と雲平は違うって。シェイクさんに会ってみたいから、早く平和にしてよね!」


それを見ていたアチャンメとキャメラルが、「別に姫様とアンコと私達を嫁にすればいーんじゃねーの?」、「なー、皆でシェアだな」と言ったが、金太郎から「日本でそれはダメなんだな」と説明をした。


そんな事を思いながら外に出た雲平は、わざとらしく「セムラさん、そんなにシェルガイが気になるんですか?」と聞き、セムラはワガママな姫のフリで、「すみません。ゲートの向こうにレーゼがあると思うと落ち着かなくて。せめてゲートまで連れて行ってください」と言う。


そこにわざとらしく金太郎が「何やってんのお前ら?」と声をかけにくると、雲平が「セムラさんがゲートを見たいって言うから飛鳥山公園まで行ってくる」と返す。


「お前、電車もないし歩いたら1時間以上かかるぞ?」

「別に深夜だから身体強化で走るし、さもなければシュザークウイングで飛ぶからすぐだよ。父さん達は寝ててよ」


「…お前、神獣武器を便利道具みたいに使いやがって。姫様とイチャイチャしたいだけじゃないだろうな?」

「は?ブン殴るよ?それになんかアグリ達が邪魔しないって言って、セムラさんを俺の部屋に寝かしてるから2人きりなら部屋でできるよ」


2人のやりとりにセムラは赤くなって「アゴール!私はレーゼの姫ですよ!婚前にそんな事はしません!」と言って誤魔化す。


金太郎は「うぇい。了解でーす」と言って見送ると、バレないように駐車している高級車に近付く。

下町には不似合いで佇まいからしておかしい。


高級車の窓を叩いて、中の人間に「お勤めお疲れ様。悪いんだけどさ、うちのドラ息子がお姫様をホテルに連れ込むとかしそうだったり、青姦始めたら止めてくんね?」と言ってから「悪いね〜」と言って家に戻った。



「くそ〜、シェルガイ帰りてえ」

「本当よね。でもあなたの行動がいい感じだったみたいよ。運転手さん達は何も疑ってない。雲ちゃんも普段着で武器も持たずにセムラ姫を連れて行ったから、散歩にしか見えてないわ。雲ちゃんってば追いかけられるのを嫌がって身体強化でショートカットしてるから大騒ぎよ」


瓜子は身体強化で色々と見知っていてそれを金太郎に告げる。


そんな家にはあんことアチャンメとキャメラルとアグリ。

アグリに至っては写メを撮ってかのこに送っていて、今も金太郎の「くそ〜、シェルガイ帰りてえ」をムービーに収めていてかのこに送ると、かのこは「勝手になさい」と返事をくれていた。


「まあ邪魔な雲平がいねーから娘達と平和なひと時を過ごすぜ!」

「おじさん、邪魔って」

「ひでー父ちゃんだ」

「まったくだな」

「お父さん、今のもお兄ちゃんのスマホに送っておいたからね」

「うふふふ。でもお母さんも娘が欲しかったから幸せよ!」


こんな感じで賑わう安倍川家に「ゲートが暴走して、セムラ姫と安倍川雲平が飲み込まれました!」と連絡が来たのは30分後の話だった。


常駐していたレーゼ兵の話では、ゲートを見に来たセムラと雲平。

セムラはゲート越しにレーゼを感じると言って涙を流し、レーゼ兵達に「国が心配ですよね。すみません」と何度も謝って泣いていたという。


そしてセムラの涙に呼応するようにセムラのペンダントが光り、ゲートがセムラに向かって動き出した時、雲平が「危ないセムラさん!」と言って身を挺したが、2人揃ってゲートに飲まれてしまったと言う。


数時間後に現れたバニエは「本庁では2人の行き先を探しています。ジヤーには降りていないそうです」と言うが、半分棒読みで金太郎も「マジかー、姫様の願いが強ければレーゼかなー。コジナーだとしたらオシコをブチ殺して来てくれんかなぁ」と棒読みで返す。


アグリだけは「はい。レーゼに入ったんですね。ありがとうございますビャルゴゥ様」と返事をしていた。



・・・



雲平はシェルガイの景色を見ながら「シュザーク、ここどこ?」と確認をすると、シュザークが「レーゼに入った。このまま道なりに進めば城に出る。魔法力の肩代わりはしてやるから時間勝負なら我が翼で飛べ」と言う。


雲平はセムラを抱きかかえると、まずは安全な場所まで飛んで着替えを済ますと「あ、婆ちゃんから電波来るか試せって言われてたっけ」と言い、スェイリィに「スェイリィ、雷の力で何とかなるの?」と聞くと、スェイリィは不思議そうに「…なぜ我が分身を持たずにやれるのだ?姫と手を繋げ、姫はゲートを意識しろ」と言った。


セムラと繋がった雲平の元にはアグリから「お父さんがお兄ちゃん抜きで楽しむってさ」と入ってきてて、雲平は「バカ親父。とりあえずセムラさんと繋がらないと送受信できないみたい」と添えて、「セムラさん、お願いできますか?」と声をかけて肩を組んでツーショット写真を撮ると日本に送っておいた。


翌朝、当然日本は大騒ぎになり、アグリに「メッセージの送信を頼みます!」とバニエと顔を出してきた本庁の人間が言うので、アグリは「お兄ちゃん、今どこ?帰って来れそう?」と聞く。


そのアグリはボロが出るし疲れるからとビャルゴゥと連絡は控えていた。


既読すらつかない中、計画的犯行を疑う本庁の人間は、鬼になったかのこの「ウチの雲ちゃんとセムラちゃんは被害者です!それを疑うなんて神経を疑うわ!逆に何かあってみなさい!許しませんからね!」の一言で謝らされる事になる。


既読がついて「終わった。サモナブレイドは手に入れたよ。コジナーのゲートを閉じて壁を厚くした。ミスティラ達と合流したら、飛鳥山公園から一度帰るよ」と言う返信と、サモナブレイドの写真が届いたのは3日後の事だった。


アグリはビャルゴゥに声をかけたが、「安倍川雲平から聞いた方が良いよ安倍川よもぎ」とだけ言われてしまい悶々としていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ