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彼と彼女のデザイア。  作者: さんまぐ
地球-襲われた地球。

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第100話 しぶとく生きて末永く娘達にチヤホヤされるんだよ。

金太郎は本庁で書類を書きながら「ああヤダヤダ、シェルガイに帰りてえ」と漏らす。


「アゴール、クモヒラの言う通りのダメダメだな」

「本当だな。頑張れ」


笑うアチャンメとキャメラルに、「どうして俺の娘達はこうも俺に冷てえんだ」と漏らす。


「娘?」

「なんの話だ?」


不思議そうに聞き返すアチャンメ達に、瓜子が「お義母さんも2人を大切にしていて、私達も2人さえ良ければ、ウチの子に迎えたいって話したのよ」と言うと、アチャンメとキャメラルは目を丸くして「メロン?」、「マジか?」と聞き返した。


「どうだい?アグリの姉ちゃんをしてくれないか?」

「私達…お淑やかじゃねーぞ?」

「狂犬バット姉妹とか呼ぶ奴らも居るぞ?」


予防線を張るように聞くアチャンメとキャメラルに、瓜子が「良いじゃない。ナメられるよりマシよ」と言って微笑む。


「マジか。キャメラル、母ちゃんだ」

「ああ、父ちゃんは3人目だ。2人とも死んだがこの父ちゃんはどうだ?」


アチャンメとキャメラルは嬉しさを誤魔化すようにニタリと笑って金太郎を見る。


「え?俺死ぬの?やだよ。しぶとく生きて末永く娘達にチヤホヤされるんだよ」

「クモヒラはどうした?」

「息子を忘れてるぞ?」


この後、アチャンメとキャメラルはなんで娘になんて言ってくれたのかを聞くと、金太郎は昨日一緒に買い物に出て楽しかった事、雲平やアグリの姉妹として居てくれている事なんかを言った。


アチャンメとキャメラルは余程嬉しかったのだろう。「父ちゃん、早く終わらせて帰ろーぜ?」、「母ちゃん、グラタンまた作ってくれよ」と甘えていた。



・・・



ふと「なあ父ちゃん、クモヒラの行ったところって遠いのか?」とアチャンメが聞くと「んー…200キロくらいだから、馬車で丸一日だな」と答える。


「でも車だから早く着いているわよ」

「じゃあクモヒラならすぐだな。でも姫様はまだしもアグリを連れてったんだ?」


ここで金太郎はアゴールの顔になって、「朝から少し考えた。雲平の奴はオシコの攻撃を意識していた。だからホイップ王子を痛めつけて鍛えてやがった。俺達は纏まれば死なないと思ってるからこのチーム分けだし、アチャンメとキャメラルなら馬車より速いから婆さんの所まで30分だろ?」と聞く。


「ああ、道は覚えた」

「疲れたら走る車の上に乗る」


「頼もしいわ。だから雲ちゃんは2人をこっちにしたのよ」

「アグリは分断されたら弱くなる。セムラ姫とアグリは雲平が守りたいから連れて行ったんだ」


「でもそれだけでこうするか?」

「クモヒラの考えとは違ってしまうが、私とアチャンメはお婆ちゃんとアンコと居た方が良くないか?」

「そこなんだよなぁ、何か引っ掛かるんだよ」


ぼやく金太郎に書類の控えと身分証を持ってきたバニエは、「雲平殿達ですか?無事に猪苗代湖を制圧したとグラニューから連絡が来ましたよ」と言って、アンケート用紙を渡す。


そこには「シェルガイから帰ってきた地球人用」と「シェルガイから来たシェルガイ人用」と書かれていて、双方の良い点悪い点、困った事や改善してほしい事なんかを書けるようになっていた。



アンケートを見て「げぇ、俺こう言うの苦手」と言う金太郎に、バニエは困り顔で「そう言わずにお願いします」と言っていると、アチャンメが「なあバニエ、グラニューってどんな奴だ?」と聞いた。


「まあ職務に忠実で、私がかのこ殿の所に行くようになってからは、日本政府との連携を取ってもらっているが。グラニューがどうかしたかな?」


バニエの言葉にアチャンメは、「何となくだけどシェルガイ人らしくねえ臭いがするんだよなアイツ」と言うと、バニエは「地球暮らしが長いからそう感じたのかも知れないな。書き上げた頃にまた来るから、その前に終わったら声をかけてくれ」と言ってそのまま席を外す。


「アチャンメ、どうした?」

「いや、なんか嫌な感じだ。この紙も持って帰って書きたいとかダメか?バニエは取りに来るだろ?」


「時間稼ぎ…か?」

「バニエってバカそうだから騙されてる気とかしないか?」


その時、瓜子が「あなた!」と声を荒げた。


「どうした?」

「身体強化で耳だけ強化していたのよ」


キャメラルが「それ、うるさくないのか?」と聞くと、「取捨選択できるから平気よ」と返した瓜子は、「そうじゃないわ。ウチの方に魔物が出てきたとか向かったって通報が来てるわ!」と言った。


「マジかよ」

「アゴール!どうすんだ!?」

「急でもお父さんと呼べって…バニエを呼ぶぞ」


金太郎は内線を取ってバニエを呼ぶと、バニエは扉の前で「あれ?開かない!?」と言っている。


「バニエは白だな」

「マジか…」

「おいバニエ!婆ちゃんやアンコの所に魔物が出たらしいぞ!戻らねーとダメだ!ここを蹴破るから離れろ!」


アチャンメとキャメラルは「せーの…」とタイミングを合わせて扉を蹴破ると金太郎が「わかった!」と言った。


「わかった?」

「何だよそれ、急ごうぜ」

「アチャンメ、キャメラル!済まないが婆さんは任せた。俺は瓜子とバニエと事の次第や敵の有無を確かめる!お前達は帰り道に妨害が入るか確かめろ」

「妨害ね…」

「つゆ払いに呼ばれたってやつか」


アチャンメとキャメラルは「父ちゃん母ちゃんの前で暴れるぜぇぇぇっ!」、「任せとけ!行くぜアチャンメぇぇぇっ!」と言って凶暴な顔になると、出口目掛けて駆けて行き、怒号と共に物の壊れる音なんかが聞こえてくる。

金太郎と瓜子は「妨害あったな」、「本当ね」と言って頷いている。


「…2人が見境なく暴れていると言うのは?」

「あ、なに?俺の娘疑う?」

「娘!?」

「おう、身寄りがないから引き取ることにした。とりあえず婆さんの所に魔物が出たって通報だとよ。知ってるか?」


何も知らないバニエは驚きの顔で金太郎を見る。


「やっぱりお前さんはこっち側だな。とりあえず偉い人に会おうぜ。事と次第によっては暴れないとな」

「やるしかないわね」


バニエは一応中立の立場で金太郎を案内した。

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