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ある夏の夜のわんわんわん

作者: 久乃 銑泉

 とある夏の日、時刻はちょうど丑三つ時。どこぞの家の寝室で、青年が1人のんびりしていた。特に何をするでもなく時間を過ごしていたのだが、気がつけばこんな時刻。明日が休日とはいえ、そろそろ寝た方がよいかもしれない。そうしてふと時計を見たとき、すぐ横の写真が目に入った。

「……ポチが死んで、もう1年か。早いなぁ」

 ポチというのは、この家で以前飼っていた雑種犬の名だ。今でも青年は自室の時計横に写真を置いている。12歳という年の割には元気なヤツだったのだが、急な暑さにやられたのかポックリと逝ってしまった。その時は青年も年甲斐無く泣いたものだ。

……プルルル……プルルル……

「……ん? 誰だよ、こんな時間に電話かけてくる奴は」

 にわかに自己主張を始める携帯電話。せっかく感傷に浸っていたというのに、何とも無粋な着信だ。懐より取り出した携帯を開き、誰からの着信かを確かめる青年。その目が驚きに丸くなる。

「えーと、発信者は……ポ、ポチ!?」

 携帯画面、その中で発信者名の表示されるべき場所には、“ポチ”とだけ表示されていた。慌てて電話をとる青年。

「も、もしもし!?」

 すると、一瞬の間の後……

「わんわん! わん、わわん、わんわんわおん!」

「ポチ!」

「わわわん、わおん、わんわんわん!!」

「え、えーと、ポチ……」

「わんわわんわんわん、わおんわおんーん!!!」

「…………」

 ……声が聞けて、とても嬉しい。そう、嬉しいのだが……

「分かるかっ!」

「……わん、わおん?」

 さすがに犬語は理解できない青年であった。


 よく怪談とかであるネタですけど、犬やら猫やらがそう簡単に人語習得できんよなーと思いまして。どーせなら生きてるうちに習得して欲し……いや、それはそれで怖いですか、主に本音とか。

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