表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/74

67 無言の支え

 葵の嗚咽が部屋に響き渡り、床を浸していく。その姿を前にして、希穂はただ、呆然と立ち尽くしていた。かけるべき言葉が見つからない。どんな慰めの言葉も、今の葵にとってはあまりにも軽く、上滑りしてしまうように思えた。

 『どうしてあげればいいの…』


 希穂の心もまた、深い苦悩に苛まれていた。修一の死。そして、その裏に隠された、自分が引き合わせてしまった幸樹との因縁。すべてが、葵をこれほどまでに追い詰めてしまった原因の一端が自分にあるという事実に、希穂はただただ打ちのめされていた。


 声をかけることさえ、今の葵には重荷になるのではないか。そんな思いが、希穂の口を閉ざした。できることといえば、ただ葵の傍らにそっと座り、彼女の肩を抱き、無言で寄り添うことだけだった。


 葵の背中を、優しく、しかし確かな力でさする。その温もりが、わずかでも葵の苦しみを和らげられるようにと、希穂は心の中で必死に願っていた。涙と後悔に打ちひしがれる葵と、何もできない無力感に苛まれる希穂。二人の間に、ただ重い沈黙と、深い悲しみだけが満ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ