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60 不穏なニュース
幸樹の衝撃的な過去を知って以来、葵の心は激しく揺れ動いていた。修一への裏切りに対する怒り、幸樹への愛情、そして自身が巻き込まれたこの因果に対する困惑。
『どうして教えてくれなかったの…?』
様々な感情が渦巻く中で、葵はもう一度修一に会いたいと強く願うようになっていた。彼に会って、この全てをどう受け止めているのか、彼の真意を確かめたい。その思いが募る日々だった。
そんなある日の昼下がり、つけていたテレビから、不穏なニュースが飛び込んできた。
「○○区内の某マンションで男性の遺体が見つかった模様です。現在、事件と事故の両面で捜査が進められています」
アナウンサーの声が告げる住所に、葵は息を呑んだ。それは、ちょうど修一が住んでいたあたりだった。敏感になりすぎているせいか、葵の胸には嫌な胸騒ぎが広がった。まさか。そんなはずはない。頭では否定しながらも、拭いきれない不安が募る。
葵は、いてもたってもいられず、すぐにスマートフォンを手に取った。頼れるのは、今、報道部にいる希穂しかいない。
「希穂ちゃん、忙しいところ悪いんだけど、ちょっと頼みたいことがあるの…」
震える声で、葵は希穂に電話をかけた。




