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59 繋がり続ける因縁

 「もしもし、希穂ちゃん? どうしたの?」


 ある日の事、葵は、こんな時間に希穂からの連絡は珍しい、と思いながら電話に出ていた。

 「葵ちゃん、実はね…」


 希穂が震える声で葵に告げたのは、信じがたい真実だった。葵にとって、驚愕の事実が判明した瞬間だった。それはまるで凍てつく氷の刃が心臓を貫くような衝撃だった。幸樹こそ、数年前に修一の恋人だった月美を自死に追いやり、その復讐として修一から暴行を受けた相手だった、と。


 この時、葵の脳裏に、修一が涙ながらに語った過去の記憶が鮮明に蘇った。月美の死。守れなかった無力感。そして、怒りに駆られて男を殴ったという、あの痛ましい告白。修一の言葉と、今、目の前にある幸樹の存在が、恐ろしいほどに一つに繋がった。

 『こんなことって…』


 葵の心は、激しい混乱と絶望に飲み込まれた。愛する二人、そしてそれぞれの過去。その間に、自分自身が深く囚われていたことを知った葵は、身動きが取れなくなるほどの衝撃に打ちひしがれた。

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