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50 問われる愛の形

 幸樹の言葉は、葵が修一の愛の形に対して抱いていたかすかな違和感を明確にし始めていた。


 修一の愛は、葵を「守る」ことに重きを置いている。常に葵を優しく包み込み、守り、癒やしてくれた。彼の存在は、葵にとって深い安堵と安心感を与えてくれた。それは疑いもなく、葵が絶望の淵から這い上がるための、かけがえのない光だった。だが、今の葵は、幸樹の言葉からかつての情熱を思い出している。もはや、ただ守られるだけの存在ではない。自分もまた、何かを成し遂げたい、社会と関わりたいという、新たな衝動が内側から湧き上がってきているのだ。


 この内側から湧き上がるエネルギーと、修一が与えてくれる守りの愛との間に、今、葵は微妙なズレを感じ始めていた。彼への愛情に変わりはない。だが、彼の愛の形が、今の自分が求めるものと、少しだけ異なっているのではないか。その違和感が、葵の心の中で、これまで見過ごしてきた感情を呼び起こし、彼女の視線を新たな方向へと向けさせていた。


 幸樹の、社会の不条理や困難に真正面から向き合い、「自分に何ができるか」と問い続ける姿勢に触れるうちに、葵の心の中で何かがはじけつつあった。

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