表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/74

32 言葉にならなかった真実

 修一の告白を聞きながら、葵は、あの日のことを思い出していた。自分の過去を打ち明け、涙が止まらなくなった時、修一が何かを言いかけ、そして、結局何も言わずにただ優しく抱きしめてくれた、あの日。

 「ひょっとしてあの時…?」


 その問いは、葵の心に、新たな痛みを伴いながらも、どこか深く納得させるものを残した。あの時の修一の顔に浮かんだ、一瞬の迷い。それは、まさにこの、壮絶な過去を打ち明けるべきか否かの葛藤だったのだろう。


 修一は、葵の問いに、静かに答えた。

 「そう…あの時、君に話そうと思っていたんだ。でも…」


 彼の言葉は途切れた。遠い目をしながら、何かを深く考えているようだった。

 「でも、結局、言葉が出なかった。何故、あの時、伝えられなかったのか…今になっては、僕自身も、わからなくなっているんだ」


 彼の声には、後悔と、説明しきれない複雑な感情が混じっていた。葵の心を慮るあまり、あるいは、自身の過去を明かすことで、せっかく芽生え始めた二人の関係を壊してしまうことを恐れたのかもしれない。あるいは、あの時の葵の絶望があまりにも深く、これ以上苦しませたくないという思いが、彼の口を閉ざさせたのかもしれない。理由が何であれ、修一は、その時の自身の判断を、今、深く見つめ直していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ