21 深まる絆
修一の静かな抱擁は、葵の心を深く、そして決定的に癒やした。言葉よりも雄弁なその温かさは、彼女の中に凝り固まっていた絶望を溶かし、壊れかけていた心を再び結び合わせた。あの涙の告白を境に、二人の絆はより深く、揺るぎないものになったのは言うまでもない。修一は、葵にとって、闇の中に差し込む一筋の光であり、最も安心して身を委ねられる、かけがえのない存在となっていた。
修一との穏やかな日々の中で、葵は少しずつ、自分を取り戻していった。かつてのような完璧な輝きはまだない。しかし、その瞳には、以前にはなかった柔らかな光が宿り始めていた。そして、その回復と共に、彼女の心にある新たな願いが芽生えた。
これまで、計り知れない苦労と愛情で自分を支え続けてくれた家族。そして、深い悲しみに沈む自分を、静かに見守ってくれたり、遠巻きながらも心配してくれていたであろう会社の仲間たち。彼らに、修一という自分の大切な存在を紹介したい。彼らが、今の自分がどれほど穏やかでいられるかを知り、心から安心してくれることを願った。
そして同時に、修一にも、自分の家族を知ってほしいと強く思った。彼がどれほど自分にとって大きな存在であるか。そして、その修一が、自分にとってどれほど大切な家族に、温かく迎え入れられるか。それが、葵の未来への、ささやかな希望となっていた。