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9 新たな出会い

 家族の支えとカウンセリングのおかげで、葵は少しずつ、ゆっくりとではあるが、心の傷を癒し始めていた。日課となったのは、近所の公園での散歩だった。きらびやかなスタジオとは無縁の、穏やかな自然の中で、壊れかけた心をリハビリするように、一歩一歩、足を進める。


 そんなある日、公園で一人の男性と知り合った。桐野 修一。年齢は葵より十歳くらい上に見える。彼もまた、毎日のように公園を散歩しているようで、最初は会釈を交わす程度の関係だった。しかし、散歩が日課となるにつれ、顔を合わせる機会は自然と増えていった。


 いつものように、公園のベンチに腰掛け、移りゆく空をぼんやりと眺めていた葵に、穏やかな声がかけられた。

 「今日はいいお天気ですね」


 修一だった。その声は、押しつけがましくなく、ただ純粋に、目の前の天気を分かち合おうとする、ささやかなものだった。葵はゆっくりと顔を上げ、修一の柔らかな眼差しと目が合った。

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