表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雨そぼ降る月夜にかかる虹

作者: 悠風かなた



ついてない時は、本当についてない。

そんな日が月に1回、必ずある。

今日はそんな日だった。



朝起きたら家を出る時間の15分前。

なんとか身支度を済ませて自転車飛ばしてたら歩道の段差でチェーンが外れて。

電車一本逃してラッシュに巻き込まれて。

会社に着いたら忘れ物してて。

仕事してたら書類の不備が見つかってやり直し。

お手伝いしてたらミスして怒られて。



癒しが欲しくて帰り道にメッセが入ったから見てみたら……


「別れよう」だってさ。



今日はサイコウについてない。

「ビールでも飲みながら1人残念会してやるー!」と思ってたら、今度は雨だ。

今日はトコトンついてない。




空からサラサラと舞う小雨。

傘もないし、半分ヤケになって。

「ゼッタイうつむいてやるもんか!」

そう思いながら1人、夜道を歩く。

夜12時近く、通りを歩く人は、誰もいない。



歩いてるうちに靴の中に水が染み込んで感触が気持ち悪くなってきた。

完全にヤケになって裸足になる。

どうせ誰も見てないし。

別に構うものか。


ちょっとゴツゴツしたアスファルトの感触が新鮮に感じる。

思わず道路に寝っ転がりたくなったけど、流石に服が気になるから我慢する。


でもさ。

寝っ転がって思い切り大声で「バッカヤロー!」って叫べたら、気持ち良いだろうな。


小雨だった雨が霧雨になった。

夜空にかかっていた雲がすっと動いて、遠く雲間から満月が顔を出した。


雨が降る月夜なんて、初めてだ。

ちょっと良い感じ。


もういいか、ここでビール開けてお月様と乾杯しちゃえ!お月様、付き合ってよね?


そう思って、缶ビールのプルタブをカシュッって開けて、もう一度お月様を見たら。





信じられる?

目の前に大きな虹がかかってたんだ。


月が光る夜空に、かかる虹。

そして徐々に消えていく。

それはほんの一瞬の出来事。

でも永遠に心に残る瞬間だった。





「ありがとうお月様。乾杯!」


今日はサイアクだった。

今も全身びちゃびちゃだ。

だけど、いいプレゼントを貰えた。

明日、頑張ろう!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ついていない時って、まるで狙ったように精神をすり減らして、自分の存在自体を否定されたような気分になる事があります。 そんな時に、まるでそれが分かっていたように、元気づける何かを見たり、聞いたりする事…
最後にお月様からプレゼントを貰えて良かったですね。 でも、夜中の一人歩きは物騒でもありますから 気を付けてね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ