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スニーカーの神様


通常の業務を終えた僕は、机の前から立ち上がり受け持ってる部の生徒たちを見に行く。


受け持ってる部は帰宅部なんだけどね。


以前は運動部の顧問をしてたんだけど、部の生徒たちにボイコットされ学園長にも「君が顧問になる部は全て成績が落ちる」と言われたため、帰宅部の生徒たちを見ているって訳。


最初に職員室がある第1校舎の1階から順に、各教室の中を廊下から見て回る。


最上階の教室を見回りを終えると普段は鍵が掛けられている屋上の扉を開け、屋上を囲む金網沿いに歩き眼下に見える武道館や講堂の裏側を覗く。


第1校舎の見回りを終えると第2校舎の各教室を第1校舎と同じように1階から順に見て回り、最後に屋上の金網越しに下を見る。


第2校舎の屋上の扉も普段は鍵が掛けられているから知る人は極僅かなんだけど、第2校舎の屋上から第1校舎の各階のトイレが覗けるんだ。


続いて武道館や講堂の屋上から見えなかった側を見て回り、運動部文化部双方の部室が連なる部室棟の裏側や通路を見て回る。


部室棟を出て体育館に向かう。


体育館の裏に回ると、バレーボール部やバスケットボール部の部員数人が休憩していた。


最初に僕の姿を認めた生徒が叫ぶ。


「変態襲来!」


叫び声を上げた生徒だけで無くその場にいた生徒全員が、悲鳴を上げながら体育館の中に駆け込んで行く。


悲鳴を上げて体育館の中に駆け込んで行く生徒たちとは逆に、体育館からバスケットボール部の顧問の先生が飛び出て来た。


飛び出て来た先生は僕の姿を見て怒鳴る。


「先生! 生徒たちが嫌がるからサッサと帰ってください!」


「は、はい! 失礼します」


今日は珍しく帰宅部の生徒の姿は何処にも見当たらなかったから帰ろう。


僕は学園の教職員用の駐車場に向けて、陸上部の部員たちがそれぞれの種目の練習に励んでいるグラウンドの前を走る。


汗を流しそれぞれの種目の練習に励んでいた生徒たちが僕の姿を見て、顔を青褪めさせながら睨んで来た。


いや~眼福、眼福。


若い女の子たちの引き締まった太腿、ハリのある脹ら脛、キュッと締まった足首、舐め回したくなる。


当たり前の事だけど、学園の子供たちに手を出すような真似は絶対にしないよ。


生徒たちに変態呼ばわりされ、学園長を始めとした同僚の先生方には白い目で見られてる僕だけど、首になる心配だけは無い。


何故なら130年程昔の明治の頃、政府に働き掛けて女学校の創立を後押ししただけで無く、毎年多額の寄付を僕の家っていうか実家が行ってきたからね。


それに学園創立以後は家の女性陣は皆この学園の卒業生で、お母様とお姉様の1人が学園の非常勤理事を勤めているから。


駐車場に行き愛車のBMWに乗り込む。


明日は休日だから都内の繁華街に向けて愛車を走らせる。


幾つかの駅周辺を走り僕の趣味心を満たす女の子を物色。


学園の子供たちに手を出したら流石にお母様やお姉様に庇ってもらえないから、こうして学園外で物色してるのさ。


あ、あの子、隣県の私立大学の附属高校の制服を着ている女の子が良さそうだ。


車を駅前の駐車場に止め、見つけた神待ちしてると思われる女の子を観察した。


駅前のベンチに座りスマホを片手に周りをキョロキョロと見渡しているのに、男性が近寄って来て話しかけるとスマホに夢中になっているように装い男性を無視する。


家出して雑誌で得た知識か友人から聞いたかして神待ちしてるんだろうけど、踏ん切りがつかないのだろうな。


顔を伏せスマホに夢中になっていると装う女の子に近寄り声を掛ける。


「大20枚でどう? もちろん食事代とホテル代は別で」


女の子はポカーンとした顔で僕を見上げ返事を返して来た。


「そ、そんなに貰えるんですか?」


「どう? 駄目?」


「いえ、それでお願いします」


「それじゃ行こうか」


女の子を立たせ手を引いて車の下に向かう。


車に乗せ近くの1流ホテルにチェックインして部屋に行く。


部屋に車から持って来たバッグを置いてから、ホテルの最上階にあるフランスレストランに向かった。


フランス料理を味わいながら女の子に家出した理由を聞く。


何でも進路の事で母親と言い争いになって感情的になり、発作的に家から飛び出て来たらしい。


食事を終え部屋に戻る。


部屋に戻ると女の子が聞いて来た。


「あ、あの、……お風呂入って良いですか?」


「その前にやる事やっちゃおう。


そこに座ってくれる」


ベッドの脇にあるソファーに座るよう促す。


ソファーに座った女の子の前に跪き、履いているスニーカーを脱がせて脱がせたスニーカーを鼻に当て胸一杯にスニーカーの匂いを吸い込む。


ハァー思ってた通りの匂いだ。


やっぱり若い女の子のスニーカーの匂いは最高だなぁ。


僕は匂いフェチ、若い女の子の靴やスニーカーの匂いに興奮を覚える。


女の子のスニーカーの匂いを堪能してからスニーカーのサイズを確認して、バッグから同じサイズのブランド物のスニーカーとビニール袋を取り出す。


女の子にブランド物のスニーカーと20万円を渡し、女の子が履いていたスニーカーをビニール袋に入れる。


女の子が渡されたスニーカーを手に「此れは?」と聞いて来た。


「スニーカーの代金が20万、裸足で帰させる訳には行かないから代わりのスニーカーがそれ。


あとさ、さっきの話しの続きになるけど君がなりたいって言った職業は誰かに聞いたの?」


「部活の先生に聞きました。


先生の友達がその職に就いているって聞いて興味を持ったんです」


「ならさ、先生にその人を紹介して貰って直接あって、その仕事のメリットとデメリットを聞いて、それでもその職に就きたいなら理論武装してそれからもう一度、お母さんと話しあったら良いんじゃないかな?」


「はい……」


「それから、お母さん心配している筈だから電話を掛けて安心させてあげなさい」


「で、でも……」


「僕は目的の物をもう得たから」


そう言って女の子履いていたスニーカーが入ったビニール袋を持ち上げた。


女の子は頷いてスマホを取り出し電話を掛ける。


女の子のお母さんは娘からの連絡を持っていたのだろう、着信音が直ぐ途切れスマホから女性の声が迸った。


「何処? 何処にいるの? 大丈夫?」


女の子がそれに返事を返しているのを見てから僕は彼女にルームキーのカードを渡して手を振り、バッグを持ってドアを開ける。


部屋のドアを廊下側から閉める僕に、「スニーカーの神様ありがとうございます」って声が部屋の中から掛けられた。


何故か僕は、都心の繁華街で神待ちをしてる女の子たちにスニーカーの神様って言われている。


変態って言われるより遥かにありがたい呼び名だから、嬉しく思ってるんだ。


さ、早く帰宅して手に入れたスニーカーをコレクションルームに陳列しなくちゃ。








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