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8月1日③ 夏休み、隣の席の女の子が家に住み着きました。

「お邪魔しま~す。」


そう言って和奏わかなは家に躊躇なく入って行く。


「綺麗にしてるんだね。お利口さん。」

「そりゃ、家に居ることが多いから汚いと気になるんだよ。」

「なるほど~。エッチな本は何処かな~。」


彼女はそんなことを言いながら家中を探検している。


「俺はお風呂入ってくるから、何しててもいいけど荒らさないでよ。」

「はいは~い。私は入らなくていいから心配しないで。」

「分かった。」


オバケは風呂も入らないでいいのかと、風呂が面倒な俺にとっては羨ましい限りだなと考えていると、


「何?一緒に入りたいの?」

「え?」

「しょうがないな~。大地がそこまで言うなら入ってあげてもいいよ。」

「いやいやいや。一人で大丈夫だから。」


制服を脱ぐしぐさをする彼女から目を逸らし、俺は急いで風呂に入った。






俺がお風呂から上がると、和奏の姿がすぐに見当たらなかった。


しばらく探すと、俺のベッドが少し膨れていたのに気づき、布団をめくってみると気持ち良さそうに眠りについている和奏を見つけた。


閉じた長いまつ毛も、枕に広がる艶やかな髪も、まるで本物のように清楚で美しい。


制服が少しはだけていて、俺は見てはいけないものを見てしまったと動揺しつつもめくった布団を持つ手は動かない。


しばらく眺めていると彼女は「ん~。」と、うなり始める。

俺はマズいと思い布団を掛けなおし、早くこの場を去ろうと踵を返した。


その時、床に置いてあった何かに足を引っかけてしまいバランスを崩す。

俺は手を付くため、周りで一番高いベッドに手を掛けた。

が、その手は勢いをすべて受け止めきれず滑ってしまう。


俺は咄嗟に目を瞑り、何とかベッドに付いた肘で怪我無く終わり、大きく息を付いて目をゆっくりと開く。


目の前には和奏の顔が。

そして、ちょうど彼女その口に俺の口が重なり合っているように思える。


本来、重ならないもの、重なるはずのない物が今俺には重なっているように感じてしまい、心を大きく揺さぶられる。


俺はすぐさま顔を放し、音を立てないように静かにその場を去り、ソファーで眠りについた。

その後、和奏の動きが少し増えたのは俺が眠りについてからしばらくの事だった。

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