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8月24日 夏休み、隣の席の女の子からプレゼントをもらいました。

母さんとの再会の翌日、朝、目が覚めると和奏の姿がある。

この二日間朝にこの姿を見ないでいたから俺はしばらくその姿を見つめていた。


「大地?どうしたの?」

「ん?いや、久しぶりに朝から和奏の姿を見たからちょっとね。」

「何?見とれちゃった?」

「うん。和奏の姿を見ると安心するよ。」

「な、何。正直じゃん。」


和奏は少し顔を赤らめながら、そんな風に言った。


「もう、ご飯できたから食べようよ。」


赤らめた顔を隠すように俺を椅子にすぐに座らせる。

俺はその姿にほほえましいなと思いながら、ご飯が用意された席に座る。


「今日のご飯も美味しそうだね。」

「ありがと。」


俺はそうやっていつも通りご飯を口に運んでいると、和奏が突然口を開いた。


「ねぇ、大地。今日は大地にプレゼントがあるんだ。」


そう言って和奏が渡してきたのは一つのスケッチブックだった。


「ほら、私もう少しでいなくなっちゃうでしょ?だから、大地が困らないように作ってみたの。」


俺はスケッチブックの一ページ目を開いて見て見る。


『簡単朝ご飯!

 卵焼き……(1)卵を割りほぐし、砂糖・醤油を加え、白身を切るように溶きほぐす。

―――――――――――』


「レシピ?」

「そう!私が大地に出来ることはこのくらいしかないと思ったから。」


俺はどんどんページを捲っていく。


『ロールキャベツの作り方』

『生姜焼きの作り方』


そんないくつもの料理のレシピが分かりやすく、そして、かわいらしい絵も添えられてまとめられている。


「ありがとう。全部、作れるように頑張るね。」


そう言う俺の心の中は少し複雑だった。

和奏も別れをひしひしと感じるほどに近づいてきている。


「楽しみだな~。大地の料理、いつか食べられるといいな~。」


和奏もそんなことを言っているが、顔が少しひきつっているような気がする。

別れるのが嫌と思っていることが俺に悟られないように。

俺も頑張って隠そうとしている和奏に気付いているということがバレないように、目の前のご飯を口の中に運ぶ。


「これくらい美味しく作れるように、頼みますよ師匠!」

「おう、まかせなさい。弟子よ!」


そんな風に少しどちらも探り探りのぎこちない会話をしながら朝の時間を過ごしたのだった。


それからは、俺はいつも通り和奏に接していたつもりだったが、彼女の方は少し俺のことを避けているような気がした。


俺はその勘を信じてこの時和奏に声を掛けておくべきだったと後悔したのだった。



――――――――――――



残り7日。

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