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8月21日 夏休み、隣の席の女の子が友達の家に泊まるそうです。

目が覚めると、和奏の姿はすでになかった。

昨日から約束していた栞の家に遊びに、そして泊まりに行ったのだ。


「今日からいないのか……。」


俺はいつもより静かなリビングを眺めながら、和奏が作り置きしてくれていたご飯を一人黙々と口に運んだ。


折角久しぶりの一人の時間なのだから楽しもうと思い、俺は手当たり次第にやってみる。

読みたかった本を読んだり、見たかった映画を見たり、少し外に出て運動してみたり。


しかし、どれをしてもいつものような楽しさは感じられなかった。和奏と過ごす、普通の毎日の方が楽しく思えた。

今思えば、いろんなことをしようと思ったのもその寂しさを紛らわせるためっだったのだろうが、逆効果になってしまった。


家に帰り、風呂を済ませて後は寝るだけとなった時に、ふと携帯のスマホの通知音が鳴った。

送り主は栞だった。


『こっちは楽しんでます!和奏が大地は大丈夫だろうかとうるさいのでそちらの写真も送って欲しいです。あと、こちらの写真も送っておきます。』


そんなメッセージと共に送信されてきた写真は、和奏が書いたであろう字で『楽しいよ~。』と書かれた紙と、かわいらしい女の子用のパジャマが浮いている物だった。

和奏の姿は写真には写っていないがとっても楽しそうにしているのがひしひしと伝わってくる。


「楽しそうだな。邪魔しちゃ悪いよな…。」


そう思った俺は寂しい気持ちを押し殺して、笑顔を作って自分の写真を撮る。


『楽しそうだね!こっちも大丈夫だから、心配しないで遊んできてね!』


俺はそんなメッセージを送りながら、心の中では和奏の帰宅を待ち望んでいた。

お泊りは明日の夜までの予定のはず。

それまでは辛抱しなきゃと心に決めて眠りについたのだった。




<お泊り会場 栞宅>


「大地からメッセージ来たよ~。」


そう言って栞は私の方にスマホを見せてくる。


「大丈夫だから、楽しんで来いって言ってるよ。」


私は送られてきた大地の写真を見ると、ペンと紙を取ると栞に頼みごとをする。


『栞ちゃん、ちょっと明日の予定変えてもいいかな?』

「いいけど、どうしたの?」

『ちょっと、気になることが出来たから……。』

「分かったよ~。それじゃあ、もう寝ようか。おやすみ~。」

『おやすみ。』


そうして私たちのお泊り一日目は終わりを告げたのだった。



――――――――――――



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