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8月17日 夏休み、隣の席の女の子と図書館に行きました。

和奏が幽霊の姿に戻っても俺の生活はほとんど変わらない。

いつも通り、朝起きてご飯を食べて、和奏とどうでもいい話をしながら過ごす。

今日もそんな風に過ごしていると、家のインターホンが鳴った。

誰だろうかと一瞬疑ったが、この夏休みに俺の家を訪ねてくるような人は彼女しか思い浮かばない。


「なんだ、栞。」


玄関のドアを開けると予想通り栞の姿がそこにあったが、思ったよりも大荷物で来ていた。


「大地、助けて。」

「そんな大荷物でどうしたんだ?家出か?」


俺の問いに少し唇を歪ませたが、すぐに訳を話してくれる。


「20日、二回目の登校日でしょ?私、まだ宿題ほとんど終わってないの。このままじゃ先生に怒られちゃう。」

「意外だな。栞は前もってコツコツとやる人かと思ってた。」

「全然だよ。だからさ、手伝って欲しいの?」


そう、つぶらな瞳でお願いしてくる彼女を俺は家に上げた。


「栞ちゃん、どうし……。」


和奏はそう言いかけて辞めると、携帯を持って来て文字を打つ。

昨日まで普通に話しかけていた癖が出てしまったのだろう。


「和奏ちゃん、昨日ぶりだね。今日は夏休みの宿題をしに来たんだ。まだ、終わってなくて。」

「勉強なら、書いて教えられるし和奏が教えてやったらどうだ?この前、俺も助けられたし。」


和奏はそれを聞くととても嬉しそうにしていた。


それからは栞と和奏が二人隣り合って勉強をしているのを俺は横目に見ていた。

途中、栞が唸ったり大きな声を出したり、和奏を褒めていたり、ひそひそと何かを企む話をしていたりと騒がしい時間が過ぎて行った。


夜ご飯の時間を迎え、栞も一緒に食べることになった。


「和奏ちゃん、本当にありがとう!助かったよ。」

「良かったな。」


和奏は「うん!」と大きく笑顔で頷く。


「栞はご飯食べたら早く帰れよ。」

「え?帰らないよ。」

「何でだよ!」

「私、お泊りの荷物も持って来てるもん。それに、さっき和奏ちゃんにも許可をもらったもん。」


和奏の方を見ると、テヘッとかわいらしげに誤魔化した。


「ここは俺の家だぞ。お前らだけで勝手に決めやがって。」

「いいじゃん、減るもんじゃないし。いいでしょ?」

「いいでしょ?」


俺はため息をつき、少し考えていると二人ともが身を乗り出してそう圧を掛けてくる。


「……分かった。」


そうして、栞のお泊りが決まったのだった。




――――――――――――



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