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8月16日 夏休み、隣の席の女の子が戻りました。

花火大会の日、あれから家に帰るまでは少し気まずい時間が流れたが今日の朝にはいつも通りに戻っていた。


「今日で最後だけど、何かやりたいことはあるの?」


俺たちは朝ご飯を食べながら最後の日の過ごし方を話し合っていると、家のインターホンが鳴った。

俺たちはご飯を食べるのを切り上げ、玄関のドアを開ける。


「写真を撮りに行くよ!」


俺たちの姿を見るやいなやそう叫んだのは栞だった。


「写真?」

「そう!せっかく今は映るんだから、思う存分思い出残しておかないと!」


栞は首にかけている立派なカメラを通して俺たちを見ながらそんなことを口にした。


言われてみればそうだ。

今まで、和奏自体が写っていないがいるように見せかけた写真擬きしか撮っていない。彼女の存在がある今、それは本物になるチャンスなのだ。


「ナイス!栞!和奏、準備して早速出発だ。」

「え?」


そうして俺たちは音速で身支度を済ませて写真を撮るために家を出た。




それからはいろんなところに行った。

プリクラの写真を取り直したり、栞を含めた三人での集合写真を撮ったり、和奏が楽しそうに話していたり、食べていたりするところも写真に残した。


そして夕暮れが綺麗に見える時間になり俺たちは海に向かった。


「ほらほら二人とも夕日をバックに撮るからあっちに並んで立って。」

「人使い荒いな。」

「いいじゃん、楽しいんだし。」


俺たちは栞に言われた通り二人で並ぶ。


「お~、いいね~。それじゃあ、撮るよ~。」

「「は~い。」」


「3」

「ねえ大地。」

栞がカウントダウンを始めたとき和奏に呼ばれた。


「2」

俺は和奏の方に顔を向ける。


「1」

和奏の顔が近づいて来た。


唇に柔らかいものが当たる。



パシャ



俺は何が起きたのか一瞬理解できなかった。


「きゃ~。」


栞が黄色い声を上げる。

目の前にいる和奏は恥ずかしそうにしている。

俺はその時、理解した。


「和奏、今。」

「昨日のお返しです。」


和奏はそう言うと、栞の方に走って行った。


その後、何度も栞にいじられながらも写真撮影会を続け、夜も遅くなり栞は帰って行った。


別れ際にニヤニヤとしている栞から今日の写真を送ってもらった。

夕日の海で撮った写真。

それにはしっかりと、俺と和奏がキスをする瞬間が収められていた。



そうして、今日8月16日をもって、和奏の姿はまた幽霊に戻った。



――――――――――――



残り15日。

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