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8月11日② 夏休み、隣の席の女の子と観覧車に乗りました。

お昼ご飯を食べ終え、お化け屋敷の恐怖の残り香も消えてからは普通に遊園地を楽しんだ。


「最後はあれに乗ろう!!」


日も沈んで来て、周りが暗くなり始めた頃に和奏が指をさしたのは観覧車だった。

これまで乗ってきた乗り物の中で一番高いと言ってもいいくらい大きな観覧車だ。


「最後は観覧車だってよ。」

「そっか、それじゃあ私は下で待っとくわ。高いところ苦手だから。

 二人で楽しんで。」


栞の粋な計らいにより俺たちは二人で観覧車に乗りことになった。



皆夜景狙いなのか少し長めの列が観覧車の前にできていた。

しばらくして俺たちの順番がやって来てゴンドラに乗り込む。


「床までガラス張りだ!頂上行ったら、綺麗に夜景が見れるんだろうな~。」


ゆっくりと回るゴンドラの中を右や左に和奏がはしゃぎ回る。


「ほら、危ないから座ってな。」

「はーい。」


素直に俺の指示に従った彼女はスッと俺の隣に座ってくる。

それからなぜか気まずい沈黙の時間が続き、もうすぐ頂上というところで和奏が口を開く。


「普通のカップルはさ、こういうところでキスとか、するのかな。」

「そう、だろうな。」

「ごめんね、私が普通じゃないから。やっぱり、私なんか...。」

「夜景すっごく綺麗だな!!」


俺は和奏が言おうとしていた言葉を遮る。

和奏が言おうとしたことは大体予想がつく。

多分、私なんかと付き合うべきじゃない。みたいなことを言おうとしたのだろう。

しかし、俺はそのことを重々承知で彼女と付き合ったのだ。


「大地...。」

「そんなこと気にすんなよ。俺はそんなこと全く気にしてないから。それに、和奏としかできないことだってあるだろ。俺は和奏と和奏にしかできないことをしたいんだ。」


その言葉に和奏は目を潤ませる。


「泣くなって。ほら、見てみろ。栞があそこで手を振ってるぞ!!」

「ホントだ、ちっちゃーい。」


それからは、たわいもない話をしながら何事もなかったように夜景を楽しんだ。


「楽しかった。今日は二人ともありがと!」

「和奏がありがとうだってよ。」

「私こそ。今日は楽しい時間をありがと!また遊ぼうね。」

「俺も楽しかったぞ。」


そうして俺たちは家に帰ったのだった。


栞との別れ際、観覧車で何かしたのかと聞かれたが何もなかったと答えると、

そんなんだったら私も乗ればよかったと悔しそうに愚痴をこぼしていた。

栞には心の中ですまんと謝っておいた。


俺たちの遊園地の時間は全員が笑顔で終わりを迎えたのだった。




――――――――――――



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