風の公爵令嬢、反乱宣言をする
こんにちは、こんばんは、咲林檎です。
前回はクロエとアナベルと出会ったお話でしたね~。
今回はアナベルとの邂逅と驚きの宣言です。
まぁタイトルから明らかですけども!!!!! ()
では、どうぞ!
────アナベル・エーデルシュタイン。
それは、アルカンシエル王国の歴史の中に多数登場するエーデルシュタイン家の長女であり、次期当主。
彼女は公爵令嬢として優秀で、魔法の才能も仕事の片付けの速さ等も他の令嬢より上回っている。
それが彼女にとって当然だからだ。
同じ公爵家として何度か交流したり、お茶会を開いたりしていたが…彼女は私とは合わなかった。なぜなら…彼女は絵に描いたような『悪役令嬢』なのだ。
と言っても小さい頃の話なのであまり当てにはならないが、我が儘だと記憶していた。
そんな印象も、約一秒で塗り替えられる事になる。
「────アイ様、ご無沙汰しております。」
アナベルは私に深々とお辞儀をして、丁寧な言葉で挨拶をしたのだ。
勿論交流している私もそうだし、会ったことのあるヴァルヴァラ、そして学園でのアナベルを知っているのであろうクロエも目を丸くしていた。
……アナベル、何か…本当に公爵令嬢って感じね…と同じ公爵令嬢なのにそういう印象を抱いてしまった。
私は急いで立ち上がり、アナベルにお辞儀をする。
「…此方こそご無沙汰しております、アナベル嬢。お元気なようで良かったです。」
そう挨拶し返すとアナベルは微笑み
「ええ、アイ様もお元気なようで。ヴァルヴァラ…だったかしら、そちらも変わらずね。」
……まさか私だけでなくヴァルヴァラまで覚えていたとは…
エーデルシュタイン家はシュトリーネン家と対立しているため、少し警戒していたのだが…あまり学園では気にしないでおくことにした。
アナベルも話に加わり、とても楽しい時間を過ごせた。だがそろそろ講義の時間。私とヴァルヴァラにクロエ、そしてアナベルの四人は揃って校舎へと向かった。
……何故かヴァルヴァラが「恐縮です」と言っていたのが面白かったが。
校舎の辺りに来ると他の生徒達がざわざわと校舎と渡り廊下を激しく行き来している。
「いつもこんな感じなのかしら…?」
そう漏らすとアナベルが校舎に向かいながら話してくれた。
「講義は選択制で、教室が一定ではないのです。しかも、学年別ですからね…」
その説明を聞いて成る程、と納得した。
それならこの生徒の量は頷ける。此処でクロエは座学の講義があると言うので別行動となる。
彼女は最後まで白い魔女帽子を揺らしていた。
クロエを廊下で見送ると、アナベルがクスッと笑ってこう言った。
「…ふふ、クロエは子供のように見えますが婚約者がいらっしゃるのですよ。しかも、王族の方なんです。」
「王族の…?それって王妃候補って事なの…?」
そう言うとアナベルは微笑みながら頷いた。
意外だなぁ、と思いながら二年の教室に向かう。
二年の教室に着くと大分賑やかな様子だった。まぁ学園に慣れてきて後輩が初めて出来た学年だ、仕方ない。
ただ────魔力が多い。生徒達から溢れる魔力が多すぎる。中には…思考を放棄したくなるような者まで。
流石、アルカンシエル王国・王立学園だ──と思いつつ教室の中に入っていく。
すると視線がアナベルと私に降り注ぐ。うっ…そうよね、そりゃあ注目するわよね…
少し怯えながらも顔に出さないようにして教卓の隣に立つ。
────今が見せ時だろう。
私は両手をチューリップの花弁のようにすると魔力を溜めていく。そして両手を開き、魔力を風に変換する。それだけで緑色の綺麗な風が教室を駆け抜けていく。
風が収まった時にお辞儀をし、自己紹介をする。
「────シュトリーネン公爵家次期当主、アイ・シュトリーネン。私は、この国に反乱するための準備の為に学園にやってきたわ。私に着いてくるのなら、世界の平和を約束するわ。」
…どうだったでしょうか。
実際にあんな自己紹介されたら困惑しますし、「コイツ頭可笑しいんじゃね?」と思いますよね。
……そう。アイちゃんは、頭が可笑しいんです。大真面目で。
現時点でのアイちゃんは反乱する気マンマンなんです。その理由は過去にあって…って、べらべら喋りすぎました!!!!! ()
後々アイちゃんが反乱する気マンマンな理由が明らかになりますんで、お待ちください(何話待てば良いのやら←)