風の公爵令嬢、幼女(?)とライバルに出会う
こんにちは、こんばんは、咲林檎です。
前回は寮に着いた所で終わりましたが、如何だったでしょうか?
今回は翌日のお話。アイちゃんが初めて未来の『相棒』と『一生のライバル』に出会ったお話です。
ネタバレ?と言われるかもしれませんが序章なんですよ、まだ。
【序章】なんですよ!!!!! ()
では何故序章と書かないかって?それは明確かつ簡単。
私が也を初めてすぐの出来事だからです ()
それに此処からローファンタジーどころじゃ無くなる可能性が…出てきそう…です… ()
では早速、どうぞ!
翌日。私は目覚ましを止めて体を起こす。
時計を見るとまだ午前五時だった。まだ寝れるな…等思考しながら布団の中に入って丸くなる。
思えばかなり遠くまで来た。実家のシュトリーネン領から50kmも離れた土地にやって来ている。以前の私には考えられない事だ。
────というか、考えすらしていなかったと言える。一時期ヴァルヴァラ以外の平民の友人が居たが、私と遊んでいる様子を見ていた他の貴族が友人達を罰してしまった。
それからあまり遊んだ事は無い。ボール遊びも鬼ごっこ(この世界に鬼と呼ばれるモノは無いのだが)も、もう何年もしていない。
もしかしたら幼い頃のトラウマが原因で外出という選択肢を自ら潰していたのでは…
まぁそんなことはどうでも良い。ただ私は学園生活を満喫すること。第一の目標である。
ならば今起きて普段着に着替えた方が学生っぽいのでは…と思考し飛び起きた。
天蓋付きベッドから降りてクローゼットからいつものブラウスと黒いジャケット(サテン地)に赤色のカチューシャを取り出し、着替えていく。
私は貴族にしては珍しく、自分で着替える癖が付いている。
幼い頃から従者に任せっきりではいけない、とお母様が私に教えて下さったのである。
だからかヴァルヴァラは従者というよりは側に居る仕事仲間という印象が強い。それでも幼い頃に紹介されてからの仲なのだ。
着替えた後諸々の支度を済ませ、部屋を出てみる。
寮の廊下は湿気が溜まりにくく、気温調節が効く木材で出来ている。確かシュトリーネン領産の白樺の木材を使っているのだとか。
私は辺りを見回し人が居ない事を確認してロビーへと階段を降りる。
中々長い階段を降りてロビーに入ると一人の少女───いや、幼女(?)が椅子にチョコンと座っていた。
だが幼女と言うには大人びている所もあるし、やはり少女なのかもしれない。
白い魔女帽子に同色のローブ。椅子に立て掛けているのは杖…か。先端に赤い宝石が取り付けられている。
幼女改め白魔女(仮)は溜め息を付きながらぶつぶつ呟いていた。
「…はぁ、昨日新入りさんが来たっていうじゃん!私ちゃんと挨拶出来るかなぁ…迷惑かけるのも嫌だし…うーん…」
やだ、この子良い子だわ!
溢れる母性本能を堪えてロビーに入る。少女が私に気付きサッと立ち上がり、深々とお辞儀をする。
「早朝から御会いできて光栄です、シュトリーネン嬢。私はクロエ・ケリーと申します。」
私も釣られてお辞儀をしながら挨拶を返す。
「…私も御会いできて光栄です、ケリー嬢。」
体を元に戻すと白魔女改めクロエ(と呼ぶことにした)は微笑んだ。どうやら早朝から私に挨拶するためにロビーに居たらしく、まだ眠そうだった。
私は微笑みながら疑問を口にする。
「お待ちいただきありがとうございます。…しかし、何故私の名前を?貴女に名乗った事はありましたでしょうか…?」
するとクロエは元気良く微笑み、誇らしそうに胸を反らした。
「昨日、義兄からお話を伺ったんです。新しいご令嬢が入学してきた…と。」
成る程…と頷きかけたが、義兄とは誰だ?
今まで会った事があったっけ…と思考し推理していくと、該当する人物が一人だけいた。
昨日、此処まで案内してくれた少年、アンリである。
彼が義兄なのか…と尋ねる前にヴァルヴァラが階段から降りてきた。
「…アイ様、私の断り無しに部屋を出るのはお控え下さい。」
「で、でもまだ授業までに時間があるし…」
咄嗟に苦しい言い訳を口に出すと、ヴァルヴァラの淡麗な眉が少し動いた。
「それでも私はアイ様の従者です。お嬢様に危険があれば即座に駆け付けるのも私の役目です。」
もっともな言い分に苦しんでいると、クロエが助け船を出してくれた。
「…確かに私も従者ですか心中お察ししますが、此処は安全な学園の敷地内。シュトリーネン嬢が一人で行動していても、危険は無いですよ?」
え、この子従者だったんだ。誰の従者なんだろう…と考えても私は学園に知り合いが居ないに等しい為、誰も思い付かない。
名字だけ聴ければ分かるのだけれど。
そんなこんなでヴァルヴァラも納得したのか
「お嬢様の行動は制限致しません。ですが…危険があるエリアには立ち入らないように。」
と釘を刺されてしまった。
まぁ元から立ち入るつもりは無いし、いざとなればシュトリーネン家に代々伝わる魔法で何とかなってしまうと思うし。
一応心に閉まっておき、クロエとヴァルヴァラと、お喋りに興じる。
すると、ロビーに人が入ってきた。
「────あら、貴女が新しく入ったご令嬢かしら?」
忘れもしない、その顔。私と似た金色の髪を巻き、黒いワンピースに身を包んでいる少女。
────アナベル・エーデルシュタイン。
私の、最大のライバルとなる、公爵令嬢である。
どうだったでしょうか?
かなり急ピッチな投稿ルーティンですが、私のやる気()で書いてる小説なのですよ ()
だけどちゃんと完結したいと思っておりますのでご安心下さい。
また好きなキャラや感想等お待ちしております!