風の公爵令嬢、学園に降り立つ
こんにちは、こんばんは。咲林檎です。
日を跨いでの投稿となりましたが、前回の続きとなります。
楽しみにしてくれた方もいらっしゃる(と思います)のでこれからも頑張っていきたいと思います!
では、どうぞ!
─────馬車に揺られ、半日が過ぎた。
もう目の前に王都が見える。彼処が、王都。
やがて馬車は王都の中へ入っていく。
笑い合う人々、買い物をする民、必死に客を集めようとしている八百屋。
それら全てが、王都の営み。
馬車の中で賑わいを眺めているとヴァルヴァラがそっと話し掛けてきた。
「ここから学園までまだ30分もあるようです。」
私は涼しい顔で「そう。」と呟きながら、心の中で驚いていた。
アルカンシエル王国はこの大陸の中で一番国土が大きい。なので王都もそれなりに広いと思っていたのたが…どこまでが王都なのだろうか。
と考えている間に、もう学園のあるエリアへ入っていたようで、途端に賑わいが無くなる。
と言っても住宅街なのでそこまで静かでもなく、時々ドレスを着た貴婦人達が話している程度であった。
やがて住宅街を抜けて王城付近まで近付いてきていた。しかし周りには森が広がっていて学園の敷地内である筈の校舎等が見えない。
しかし、森を出ると────
そこにはとても大きな門が築かれていた。
門は豪華な鉄で出来ており装飾が施されている。門を支える壁は煉瓦で簡単には壊れなさそうだ。そして奥には────門を支える壁とはまた違った色合いの煉瓦で作られた校舎が、太陽の光を受けてそびえ立っていた。
馬車は門の前で止まったので私はヴァルヴァラに手を引かれ、馬車から降りる。
荷物を受け取った後、馬車は門から去っていった。
私は一息つき、ボソリと呟いた。
「さて、此処からどうすべきかしら…」
ヴァルヴァラも辺りをキョロキョロして物珍しそうにしている。先ずは荷物を置きに学生寮へと向かった方が良いのだが…場所が分からない。
人影を見つけようとヴァルヴァラ宜しく見回していると───
「お嬢様方、どうかされましたか?」
黒髪に黒目の従者服を着た少年が話し掛けてきた。従者服と言ってもそれなりに位が高そうだが。
私は言葉を放とうとしたヴァルヴァラを手で制し、少年に言葉を返す。
「…実はこの学園に今日編入したばかりで…学園寮の場所が分からないのです。」
少年は成る程、と頷き「此方へどうぞ」と進みだす。
ところで少年の名は何なのだろう。少なくともこの学園の生徒か関係者であることは事実。
学生寮に辿り着いたら聴いてみようと少年の後をヴァルヴァラと一緒に付いていく。
意外と学生寮へは遠かった。
てっきり校舎の側にドーンと建っているのかと思っていたのだが、そんなことはなく校舎の側の煉瓦で舗装それた道を歩いていくこと10分。
辿り着いた学生寮は、屋敷か!と突っ込みたくなる程豪華であった。
前庭には噴水が水を湛えていて、丸く円に道がカーブしている。その道に沿うようにベンチが数個設置されていて休憩スペースがあった。
そして丸くカーブした道の奥には───青い屋根、白い煉瓦の壁。そして玄関口の周りに咲き誇る花々達(一見薬草に見える植物もあった)。
それは一言で『美しい』と言う他なかった。
私とヴァルヴァラは学生寮を見て感嘆の声を上げた。
「豪華ね…大きいとは思っていたけど、装飾も凝っているし…」
「はい。このような学生寮に二年間過ごせるとは、贅沢ですね…」
その様子を見た少年は髪を少し揺らして微笑んだ。
「ええ、そうでしょう?中々美麗な外観となっております。」
私達は振り返り、お礼と少し自己紹介をすることにした。
少年はルヴェーラ男爵家の長男、アンリ。彼の他に弟と義妹が学園に通っているらしい。
此方も自己紹介を終えたが、何か彼との会話に違和感を感じた。それはすぐに明らかになったが。
「あの…シュトリーネン嬢。良かったらタメ口で話しませんか?こうして出会ったのですし、学園では爵位等関係は無くても良いと思うのです。」
アンリから提案され、私は最初は遠慮していたがアンリの願いとあってタメ口で話すことにした。
それから故郷の話など談笑をしていたが、アンリは男子寮に帰ると言う。
見送ってから女子寮の中へ入り、自分の部屋にて荷解きを始める。
早速知り合いが出来たので楽しい学園生活になるのだと…信じたい。
私の計画は完璧だが信頼性が無い。彼らが何処まで着いてこれるのか…楽しみでもあり、億劫でもあった。
今回もどうでしたか?
アンリ君…カッコいいですわよ ()
アイちゃんのセリフが少ない問題が発生しつつある今回の話でしたが…
予定としては話が進むにつれてアイちゃんが柔らかくなってセリフ数が増える計算になっています!
では次回もお楽しみに~