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第19話 Letter_1
ロッカーに、一通の手紙が差し込まれていた。
「あなたはわたしの失われたたましいです」
指先からたちまち全身が硬直した。
「全日本ノービスであなたを見た時、涙が止まりませんでした。まるで氷上が住処のようなスケート。神様が遣わせた氷の天使。あなたというスケーターに出会えたことに感謝します」
印刷されたようにきれいな字。
水色の便せん、封筒。
表も裏も。
差出人の名前は、無かった。
ほとんど衝動的に、わたしはその手紙を破った。
大きく二つに切り裂き、それからビリビリにした。
紙片が床に散らばるのも構わなかった。
吐き気が止まらなかった。
大会後、手紙やプレゼントをくれるファンがいる。
連盟を通してファンレターをもらうこともある。
でも、これはそういうのとはちがう。
――出会えたことに感謝?
お前は誰だ。




