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第16話 エアポケット(Inter-subjectivity)
「次、三組。お願いします」
しーん。
「……霧崎くん?」
「ああ、すみません。ちょっと、ぼーっとしてました」
くすくすと笑い声が沸く。
めずらしー。
「合唱の練習。まじめに歌わない人たちをどうするか。……二組、男子がふざけすぎて、全然練習にならないんだって。ほら、藤井とか木下とかあの辺」
「……本当にあいつらふざけてるだけなのかな」
「え?」
一瞬、場の空気が静まる。
「いや、歌いたくても歌えないだけなんじゃないかと思って。……あいつら、今声変わりしてない?」
言われてみれば確かに、とうなずく面々。
「それでうまく歌えなくなったのを、ごまかしてるだけなんじゃないかな。こう……おれはオクターブ下げて歌えばいいって分かるけど、そういうのできない人もいると思う。できないことをできないって言ったら、認めるみたいで悔しいし。そういう人っていうか、そういう時は……どうしたらいいんですか、先生?」
「うん? あ、ああ。そうだな……」




