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もんもんモンスター  作者: 猪八豚
大怪物屋敷
92/150

92 怪物少女と祭りの準備

 リビングのやたらとポップな色合いのテーブルに大会参加要項を広げ、神王決定バトルのルールを確認する。


 この大会はどうやら歴史と伝統ある大神様祭りのメインステージとして行われる物のようで、様々な薀蓄が書き連ねてあったが、そのあたりは特に必要のない知識なのでスルーした。


 闘技場内で消滅や死去した場合、肉体を再生し復活させてくれるらしい。食費や宿泊費等は無料だが、一旦会場に入ったら、大会が終わるまでは外に出ることは出来なくなるとの事。参加者は3人未満でも大丈夫だが、途中参加は認められない為、なるべく多いほうが有利。ボトルマスターはモンスターボトルを所持したままで『選手1名』として出場可能などなど……。


 つまり、相当な人数をモンスターとしてボトルに入れて連れて来る奴が現れても不思議ではないのではないだろうか? それって、収集がつかなくなるのでは?


「そういえば、ボトルマスターってのは何人まで契約できるんだ?」

「私は人型モンスターとの契約しか知りませんが、1人に年収の1割を持っていかれるボトルマスターは最大で10人までしか契約できません。ただし、ミライくんみたいな無限にお金を生み出せる富豪スキルを持っていないマスターがそんな事をしたら破産ですから、多い人でも精々が3人くらいですね」


 レム姉さんのフォローが入るが、人以外のモンスターの場合はどういう契約になっているのだろう? 大浴場の常連、フンコロガシ少年に聞いておけばよかった。あの少年、ボトルに大量の昆虫を入れているっぽかったし……。


「えっ、えっ? あれえ~? どうして? 本当に、出てくれるの~っ?」


 ヌガー様は、突然何の苦労もなく降って湧いたお望みの出場選手の確保イベント発生に心がついていけていない。珍しく心配そうな顔でオロオロしている。


「も、もしかして……私のお乳? 私のお乳を揉む事を要求してくるの!? いやああんっ! けだもの~っ! 私の事、そういう目で見ていたのね~っ!?」


 いやああんっ! という割に全く嫌がっていない満面の笑顔でエプロンをたくし上げ、困ったことにもう見慣れてしまった胸部を自ら晒し出すヌガー様。


 何に反応しているのか、空飛ぶカメラがヌガー様の周囲をびゅんびゅん飛び回り、自動で照明に照らされ始めた裸体を撮影し始め、何らかの配信が始まってしまったらしい事が解った。


「ああっ、どうしようっ! 年端も行かない意地悪な少年に身体を求められて、ヌガーの貞操が大ピンチでぇす♡ あっ♡ あっ♡ 今日もご視聴ありがとうございま~すっ♡ お礼に、見てっ! 見てぇ~っ! 宜しければチャンネル登録お願いしま~す♡♡♡」


 いつものどうしようもない配信がひと段落付くまで適当にそこいらの怪しげな菓子を食って待ち、何かを出し尽くしたのか賢者モードになって冷静さを取り戻したヌガー様に、出場の条件を伝えた。


 勝利した場合には、ヌガー様が出来る範疇で出場する者全員の願いを1つづつ叶えて貰う事……俺の願いは、また先程の心揺さぶられるジャンクフードを取り寄せてもらう事だ。


「あれを再現して、こちらの世界……ミドルスコールで売ってみたいと思っているんだ」

「えっ、あんなので良いなら勝っても勝たなくても暇なときに何回でもやったげるけど……あの料理ってそんなに美味しかった?」


 ヌガー様が困惑顔のままオロオロし続けている。まぁ、気持ちは解らなくもない。あれは決してめちゃくちゃ美味しいものではない。


 ただ、それでもあっちの世界では一番売れているし、比較的安価な価格で世界の沢山の人に毎日食べられているのだ。


「それだけじゃ悪いから、もう一つくらい願い事があれば何でも聞くけど? 何か、無いの?」

「あ、それじゃあ、希望する家を建ててくれないかな? 姫から土地の権利は買ったんだけど、建物をどうするか困ってて」


 こちらの世界では子供の身であってもお金さえあれば大抵の自由が利くが、子供だと思って馬鹿にするタイプの人達が仕出かす嫌がらせについてはどうにもならない。


 家の建築を何処かに頼むか、自分達で汗水たらして素人建築を頑張るかについて、割と困っていたのだ。


「ほぉん……? そんな簡単な望みでいいの? 適当に仕様書とか設計図みたいなのを作ってくれれば速攻で望み通りに作れるし、改築も自由自在だけど……欲が無さすぎるんじゃないの?」


 平然と簡単な望みと言い切るヌガー様。そう、神を自称する彼女達にとって、家を作り出すことくらいは朝飯前なのだろう……。


 一体どのような嘘、インチキ、人海戦術、俺に対する謎の薬物投与を重ねて『速攻で望み通りに作れる』を実現するのかは知らないが、神々を騙る巨大な暗黒新興宗教組織の偉い人なのだから、熱狂的信者達の力を集めればどうにでもできるのではないか。


「くっ……権力という名の暴力! なんという無茶苦茶さだ……!!」


 俺の全身に冷汗が浮かび上がり、体が恐怖で震え上がりそうになったが、こういう時の為の恐怖耐性スキルが今回も大活躍だ。


 目の前ではレム姉さんに笑顔を近づけるヌガー様がいた。スッとレム姉さんの手を取って、流れるような動きで指に何かを塗りつけ、何らかの紙に指を押し付ける。


「えっ……?」

「はい、契約完了。レムちゃんも戦士になってもらうから、よろしくね!」

「は……? ヌガー様、何を仰っているんです? 私、女神なんですけど……?」

「女神だって戦士として出場できるわよ? それにもう、この通り契約しちゃったし!」


 手元の契約書らしき紙をレム姉さんに向けて、満面の笑顔。


「…………えっ?」


 ポカーンとした顔で思考が追いついていないレム姉さん。


「おいおいすげえな、俺達の願いも何でも叶うのか? 具体的には何処らへんまで大丈夫なんだ? 俺、願い事ならいっぱいあるんだけど~!?」

「こやつは上級女神なんじゃから、星を一個くれと言っても通じるんじゃないかの?」


 姫がテーブルに置いてあった何やら謎のキャラクターっぽい形をした菓子を口にしつつ、スケールが大きすぎることを言い出したのだが、ヌガー様は特に何も問題ないという体で返答する。


「既存の星は権利関係が難しいけど、新規に作るのならできるわよ?」

「うわ、すごいのお……まぁ、まだ勝負に勝ってもいないんじゃし、はぁ、はぁ、ゆっくり考えさせてもらうぞ、のう、同士アオリよ……」

「うん、うん、共にゆっくり考える……よ! 機関車惑星での暮ら……し!!」


 気がつけば、レム姉さんが俺の足にすがりついてボロボロ泣いている。


「えっ? 何で? どうしてえっ!? 私、バトルとか嫌~~~っ!!!」

「レム姉さん、大丈夫だ。なるべく俺や仲間が戦うし、レム姉さんには女神ビームがあるじゃないか。極端な話、ずっと女神ビームを撃ってれば一人で勝てるんじゃないのか?」


 キッ!とした目になって俺を睨みつけるレム姉さん。


「ミライくん、良いですか? これは伝統ある神王決定バトルなのです。世界中から神々の手で集められたありとあらゆる究極の戦士たちが、想像もつかない死闘を繰り広げる場。死んでも蘇ると言っても、心が破壊されて元に戻らなくなってしまうような事だってあるし、一体どんな化け物が出てくるのか予想不能なのですよ!?」

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