56 七人の少女と豚一頭、トンタマで喜び隷属する
トンタマに戻り駅周辺で自称女神二人と合流する。二人は手に紙袋をぶら下げて、何か買い物を楽しんだらしい。神様なのに物を買うのか……。
さて、夕飯の選択肢はほぼ一か所しかない。俺達は『豚の餌』を訪れた。
「いらっしゃい。……二人増えたな?うちは日替わりの豚の餌しか無いが、大丈夫か?」
店長のエプロン豚おじさんは細かい所までよく見ている。席についた我々の元に男豚達の手で運ばれてくる豚の餌は相変わらずの雰囲気だが、これはもうこれで良い料理なのだ。
チャーミーは相変わらず誰よりも早くもの凄い勢いで食べ始めたが、6号の足元で四つん這いになって6号を見上げて興奮している豚少女フィレは、折角出して貰った食事に手を付けようとしない。
それどころか、ゴロンと寝転がって腹を見せ、両足をぱっくり開いてパンツを見せつけ、荒い吐息を漏らしながらこんな事を言い出してしまった。
「はぁっ♡はぁっ♡ 宜しければ6号様の残飯を頂きたいでぇす♡ 私のような卑しい牝豚には、残飯ですらご馳走なのでぇすっ♡♡♡」
この世の終わりだ!という顔をした6号が軽く口をつけた豚の餌を足元のフィレの前に置くと、尻尾をぶんぶん振って大喜びで手を使わずに犬食いで食べ始めた。
「旨そうに食ってくれてるからいいけどよ……随分と……その、変わった仲間?を連れてるな」
店長のエプロン豚おじさんが、見てはいけない物を見てしまった顔で様子を伺っている。うん、確かに仲間?である。
「……マ、マスター、私、この生活に耐えられるんでしょうか?」
「大丈夫だ。俺の経験によると、どんな苦境も3日もすれば慣れる!」
「ぶぁぁああ~~~ん♡♡♡ぶぁぁああ~~~ん♡♡♡」
「6号は強い子、やればできるさ!」
豚の餌は中身の具材が毎日違うが、相変わらずちゃんこ鍋のような味わいで、栄養満点だ。お相撲さんのようにハードなトレーニングを積まずにこんなものを毎日食べていたら、体形が大変な事になってしまうに違いないのだ。
「そういやよ、トンタマの一般的な豚人間家庭じゃ、どんなもんを食ってるんだろうな?」
ファフニルの疑問に店長のエプロン豚おじさんが答える。
「俺の家は竪穴式住居の中流家庭だが、昔から朝はカロリーの多い餌、昼はあっさり餌、夜はこってり餌だったな。トンタマは他所も大して変わらんだろう。うちの豚の餌は夜のこってり餌を意識してる」
「朝のカロリードリンクは見た事があるんだが、昼のあっさり餌ってのが気になるな。何処か食える所は無いのかよ?」
「あっさりな豚の餌出してる店か……すぐには答えられないが、調べておくよ」
そうこうしているうちに豚人間達で満員になった店の会計を済まして外に出て、ホテルで銭湯のタダ券を受け取って足を運び、総勢十名で銭湯に直行した。
裸、裸、裸!沢山の異性の裸が目の前に並んでいる!いやまぁ、全員女児だし俺も男児なんだけど……。
そして、俺は気が付いてしまっていたのだが、裸になられるとそれが現実であることが解ってしまう。そう、目の前のモンスター女児達は、トンタマに滞在しはじめて数日の時間しか経っていないのに、明らかに太り始めている事に……。
「はああ~!! 下界の風呂は初めてだが、中々きもちええなあ……」
ポロリが足を延ばして湯船に浸かりながら言っているのだが、そういえばこの自称女神様は一体いつまで俺達に同行するつもりなのだろうか? ……と思ったのだが、よく考えてみたら聞けばいいだけなので、直接聞いてみた。
「ん?ああ、まぁそのうちな。レム様と話すのも久々だし、何気に下界に降りたのは初めてだべ。少しは旅気分を満喫してえんだ」
「あの、ポロリ様?是非お聞きしたいのですが、この豚少女をどうしてもこの身から外したい場合、どうすれば良いのでしょう?」
この豚少女と言うが、6号の身にフィレはくっついていない……と思ったら湯船の中に潜って6号にしがみついて、足に吸い付いている……。一体なぜ其処まで苦労して……。
「良く知らんけど吸血鬼なんじゃろ?下僕に命令を下すための女王様喋りの訓練くらいはやった事あるべ?あの口調で強く命令すればいいんじゃないのかな?」
「ううっ、女王様ですか……あれ、苦手なんですよね……。はぁ……」




