05 五人の少女とちっちゃな転生
「……はっ!? こ、ここはどこですか!?」
お姉さんがムクリと起き上がり、周囲を見渡す。1号の言う通り、受けたダメージは綺麗に無くなっているようだが、無くなったというか……これは一体?
「おねえさん。そうなった事情はわかりませんが、警察に自首しに行きましょう!」
俺の言葉に大きな?マークを浮かべたお姉さんが、街を見て、5人のモンスター少女の姿を見て、俺を見て、自分の姿を見て、ハッとした顔になって叫び出した。
「うええっ? もしかして……転生したんですか!? まさか……ぜ、全員!?」
女子全員の姿は皆、幼い子供になっている。そういえば、俺の口から出る声も、妙に甲高い。声変わりしていない声!
「うそでしょ、まさか、初期設定のままで……!? 全員、こどもになっているのは、そのせい? どうしてそんなむちゃくちゃなことを……!!」
「きゃあきゃあうるさいな! こどもビッチは、しねっ!!」
1号がお姉さんにパンチを繰り出す。しかし、1号のパンチは身体の変化に伴って幼女の物に変わっており、お姉さんのお腹にポスッ!と当たっただけに見えた。
「うああっ!? モンスターがぶった! ママッ、ママァ! ……あ、あれ?」
お姉さん……お姉さんというか、幼女なのだが……は、反射的に幼児同士の喧嘩の末に発する声のようなものを上げた後に正気に戻る。
「や、やっ……た! たぶん、ここはミドルスコールだ……よ!」
「はぁ、はぁ、見てくださぁい! 美味しそうな屋台が沢山ありまぁす! メス豚は、メス豚は、もう我慢できませぇん!!!」
4号というか自称メス豚が街中に大量に並んだ屋台を指さし、体をくねらせている。4号の口調は依然と全く変わらず、欲望が剥き出しだ。この子が犯した罪というのは一体何なのだろうか……?
俺は有り余り溢れる力をほんの少し使い、ポケットの中で見た事も無いこの国の通貨を作り出した。
「これが、この世界のお金らしい。買ってくると良いよ」
4号は大喜びの顔でお金をお口でくわえ取ると、四つん這いで屋台に走っていく。こんな事を思うのはどうかと思うが、なんだか本物の豚のようだ。
「あ、あなた……そんな事が出来るという事は、青いボタンを押しましたね!?」
「俺が連打しまくってやったぜ? 最後は光って押せなくなっちまったけど、文句あるか?」
「はっ!? 連打!? エネルギーが無くなるまで押し続けたんですか!? そんな事をして大丈夫だったんですか!?」
お姉さんが俺の身体をぺたぺたと触ってくる。どうやら俺の状況を調べたいようだ。
「特に何も問題はないよ。むしろ、今は俺が持ち得る全ての力を手に入れた気分だ」
「そりゃあそうでしょう……あれは転生特典の能力を授けるボタン。あれを限界まで押して特典を全部取り込めたのでしょう?」
「わたし、マスターのステータス……書き出せる……よ?」
3号が俺の手を取って主張してきたので、試しにやってもらう事にした。手を繋いだ3号の口からぴゅうぴゅうと放たれる墨が、地面に文字を描いていく。
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なまえ:うすい みらい
せいべつ:おとこ
しょくぎょう:ぼとるますたー
れべる:1
いのち:とってもげんき!
ちから:5
ちのう:5
すばやさ:4
うつくしさ:4
たいせい:悪口耐性lv1
すきる:お金生成lv1 / 自信満々lv1 / やる気向上lv1 / 悪臭消滅lv1 / お掃除lv1
とくちょう:
神聖な転生部屋を消滅させた罪を贖罪しなければ
これ以上ないくらい悲惨な形で死ぬ
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