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もんもんモンスター  作者: 猪八豚
大怪物旅行
47/150

47 七人の少女、トンタマの豚朝食

 早朝、ふとんを畳みに来た豚仲居さんによって目を覚ました俺たちは、割と慌ただしく食堂に案内されて朝食を頂くことになった。


「なにしろよぉ、トンタマ唯一のお勧めホテルが出す朝食だぜ? 期待しちまうじゃねえか?」


 期待するファフニルの欲に満ちた顔。実は俺も割と楽しみになってきてはいた。トンタマでこれまで口にしたものに明確なハズレが無いからだ。美食探知スキルが全く反応しないので、決して素晴らしい物では無い筈なのだが……。


 皆の前に配膳されていく食器の上には朝食という雰囲気がなく、ものすごくカロリーの高そうな食べ物がてんこ盛りに盛られていた。蜂蜜たっぷりのフレンチトースト、もりもりのクリームケーキ、油が多そうな唐揚げ、巨体維持のお供なポテトフライ、甘くて甘ぁいミルクセーキ、大量の蜜漬けフルーツ、あんことカスタードクリームを挟んだパン、その他諸々……!


「ぶおおお~ん!! 朝からこんなに甘くて甘ぁい物がっ…!! いいんですか!? いいんですかぁっ??」


 歓声が上がる。うちの豚人間が諸手を上げて大喜びし、いただきますの挨拶もせずにそのままむしゃぶりつき始めている。俺達は普通に食事の作法に則って食べ始めたが、とてもじゃないけどこんなにたくさん食べられない。一個一個はおいしいのだが、量が尋常ではない。


「そうです! これでぇす!! おいしいいいい~ん!!!」


 だが、俺達が沢山食べられなくても、顔面を紅潮させたチャーミーが無断でどんどん横取りして食べてしまうので、結局は帳尻が合ってしまった。それにしても、チャーミーの身体の何処にこれだけ大量の食糧が入っていくのだろうか……?


 コック帽を被った料理人らしき豚人間がやってきて頭を下げ、朝食について聞いてきた。


「お味の方は如何でしょうか? 都の方にお楽しみいただけていれば良いのですが……」

「う~ん……。一つ一つは決して悪くない、むしろ良いと思うんだが、人間の俺には甘いものや脂っこいものが多すぎるな……。それ以前の問題として量が多すぎるかもしれない。うちにはこの豚人間がいるから問題ないのだが、余らせてしまったらもったいない所だった」

「豚人間の皆さんは、毎日こういうハイカロリーな朝食を食べているんでちか?」

「いえいえ、私共の朝食はもう少しシンプルです……。私の地方では、メープルシロップと牛乳に砂糖を混ぜたものに黒蜜ときなこをかけて、砕いたシリアルと一緒に飲むのが基本ですね」


 想像しただけで全身に脂汗をかきニキビが噴出し体重がもりもり増えそうな飲み物の話が出てきてしまった。いや……それ、飲み物なの?


「ぶおおおん!? それ、それ飲みたいでぇす!! 何でもしますっ!! 何でもしますからお願いしまぁす!!」


 恥ずかしいポーズをキメたチャーミーのおねだりが始まってしまった。とは言っても女児なのでキツめの冗談として受け取られそうなポーズだが、元々の姿を考慮すると結構な淫猥さでヤバいポーズだ。一体誰に仕込まれたのか、それとも、自分自身で始めた事なのか……?


 毎日作るのですぐ出来ます! と走っていった料理人の帰りを恥ずかしいポーズのままで待機させておくと、俺の想像した飲み物とは大きさのレベルが違う、まるでバケツのようなコップに入った飲み物……いや、これはもう『カロリー』と呼称して良い代物ではないだろうか? ……と共に再登場した。


「すごい……ね。これ一杯で糖尿病になれるんじゃないか……な?」

「わ、わたし……。なんか……見ただけでげっぷが……」

「ねえ、これ飲むのですか……? 食事っていうか新興宗教の異常で無謀な修行なのでは……?」

「うーん、まぁ、我々豚人間が作る豚の為の豚ドリンクですからね。豚人間にとっては馴染み深い味だと思うんですが……」


 皆が見守る中、チャーミーは喜びいっぱいの破裂しそうな顔でそのカロリー満載の液体に口をつける。思ったよりも素早くチャーミーの体内に取り込まれていく、想像するだけで太ってしまいそうな濃密なカロリー汁……!


 飲み干すまでにかかった時間は十秒ほど。スペシャルカロリーの十秒チャージである。


「ぶぉ、ぉ、おっ……おぉお~~~~~~~~~~~~~~ン♡♡♡」


 全身を涙や汗でぐっしょり濡らし、ぷるぷる震わせながら盛大に叫び声を上げることで無限の喜びを表現するチャーミー。瞳には浮かぶはずのないハートマークが浮かんでいるように見える……。当然、各種耐性スキルがフル活用されて俺の表情は崩れていないが、俺は無関係です~っ! と叫びながら逃げ出したい気持ちになってしまった。


「粗末なものですが、お口に合いましたか?」


 この見るからにアレな状態のチャーミーに声をかける料理人は料理人でちょっと凄いと思うのだが、豚人間同士ある程度は分かり合えるという事なのだろう。


「ぶおおっ……こ、こ、こんな素晴らしいものを口にしたのは、産まれて初めてでぇす!!!」


 チャーミーってもしかして豚人間の作る豚向け料理をまともに飲み食いしたことが無かったのかな……? トンタマに来てからのチャーミーはちょっと食べ物に対して感極まりすぎている気がする……いや、普段から割とこうだったかもしれないけど……。

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