37 七人の少女と裸の巨大神おじさん
周囲を包み込んだ強い光に慣れてくると、女子中学校の敷地内ではない事に気が付いた。
地面は美しく輝く雲のようなもので、見渡す限りどこまでも続いている。天井は無く、晴れ渡った青空が見えた。
「ここは、一体……?」
周囲を見渡すと仲間の7人の他に、女子中学生総勢数百名と、半玉おじさんとダンシング・バニーさんまで居た。
「むう……? 吾輩ともあろう者が、不覚である。現在の場所が掴めなくなってしまったが、ここは……まさか……?」
「大丈夫だぴょん! レッツ・ダンシングは常勝無敗で無敵のスキル! 何が来たってぴょんぴょんぴょ~んだぴょん!!」
ざわめく女子中学生達だが、普段から生徒たちの指揮を執っている女子たちがメガホンを片手に現れて、そこからは整然と隊列を作り始めている。
「天上の支配者、神の中の最高権力者、神王様との謁見の間……だと思うわ。私も来るのは初めてだけど……」
暫くして、地面の雲が割れ始め、下からゆっくりと巨大な裸のおじさんが上がってきた。
「待たせたな。私が神王だ。お前たちの行動は全てお見通し。全て承知している」
裸の巨大神おじさんが、俺を指さして、口を開く。
「まずはお前。ウスイミライくん。女子中学生達を捧げたことで、君の罪は赦された。もう突然無残に死ぬことは無いぞ。地上に戻ってボトルマスターを続けるが良い」
「えっ、でも、もう他のボトルマスターは殆ど居ないのでは?」
「そのうちまた増えるだろう。では次」
裸の巨大神おじさんが、俺のモンスター達を指さして、口を開く。
「薄汚い犯罪モンスター共。いや、今はもうただのモンスターだな。お前らの罪も赦された。ウスイミライくんのボトルモンスターを続けるも良し、故郷に帰るも良し。最早何も強制されない。名乗るも勝手、語るも勝手だ。好きに生きるが良い」
ボロボロと瞳から涙をこぼし喜び始めるモンスター達。裸神おじさんが次に指さしたのはレム姉さんだ。
「女神レム・ノートよ。後輩女神に転生管理者の立場を狙われて大変だったようだな。しかし、お主がウスイミライくんを導き、結果を出してくれたのだ。お主には相応の昇給及び、現在の転生管理者よりも上の、転生責任者の立場を与えよう。後で姿も元に戻してやる」
「恐れ多いです!! ありがとうございます!!」
裸の神おじさんは陰嚢おじさんとダンシング・バニーにも指を刺す。
「何だお主たちは……? お主たちは無数の罪を犯しているな。お前は今すぐ女子中学生になれ。お前は隷属化し、忠実なボトルモンスターにしてやる」
「くっ……ダンシング・バニーよ! レッツ・ダンシングだああああ~ん!」
変態おじさんは、その場であっという間に女子中学生へと変貌した。
「あれっ……ここ何処? 私、誰なのぉ?」
「あああっ、何という事を……酷すぎるっ……!! ゆ、ゆ、ゆるさないぴょ~ん!!」
バニーさんは、腰についた怪しげな器具で音楽を流し始める。首、胸、おしりの順番に体をふりふりし、何やらリズムを取った後、その場でリズミカルでちょっと変なダンスを踊りはじめた。
「みんなーっ! いっしょに倒れるまで踊ろっ! レッツ・ダンシングだぴょ~ん!」
ズン!ズン!ズンドコ!! ズン!ズン!ズンドコ!!
踊れっ!! 踊れっ!! ぴょ~んぴょんぴょ~ん!!
しかし、神王は雲のソファに腰掛けたまま、微動だにしなかった。
「お、踊らないっ……!? どうして!?」
「見事なスキル使いではあるが、力が足りなかったようだな。ウスイミライくん。このモンスターを、お主のボトルモンスターに加えて連れ帰ってはどうだね?」
「そ、それはかまいませんが……」
裸のおじさんの手からダンシング・バニーに向かって光が放たれる。瞳からハイライトが失われ、俺の方に向かって笑顔でふらふら歩いてくるダンシング・バニー。
真っ暗な瞳からは、涙が流れていた……。
「契約とかは勝手にやってくれ。それじゃ、最後のお楽しみだなあ……」
裸の巨大神おじさんがその場で立ち上がると、股間にぶら下がっている巨大な竿と袋が、ぶるるん!と揺れ動く。
「ふははは…… よくぞ、集まってくれたな…… とびっきりの女子中学生諸君!」
なぜか激しく興奮し、息遣いが荒く、目が血走っている。
「お前たちは現在女子中学生の姿形だが、実際にはいい歳をしたボトルマスターおじさんだ。つまり、つまりだ……お前たちは未成年ではない!! この私が何をしても、事案にはならないのだっ!!」
裸の巨大神おじさんの股間は、いつのまにか大変な事になっている。怯える女子中学生達。無理もない、今の彼女たちの心は正真正銘、とびっきりの女子中学生なのだから。
元がどうあれ、現在は女子中学生として生きている子達に、身勝手で汚らわしい欲望をぶつけようとしているこの巨大なおじさんは……!!
「おい、何をしているウスイミライくん。ここからは大人の時間だ。子供仲間を連れて立ち去ってくれ……まぁ、観ていてもかまわないのだが、君にはそういう趣味は無いだろう?」




