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もんもんモンスター  作者: 猪八豚
大怪物少女
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27 六人の少女と冒険者登録

 ホテルに併設された人の出入りが激しい施設。どうやら冒険者が階級やら仕事を求めたりするギルドだという事がわかり、とりあえず登録して簡単な依頼でもこなしてみようか?という話になった。


 よくわからない魔術で本人登録を行い、3号のステータス書き出しよりも随分と大変そうな機械で素質を測られ、思っていたよりも長い説明を聞いて、やっと身分証の代わりになるというギルドカードを手渡された。


 俺達の冒険者ランクはGランク。初心者はまずGから始まり、実績を積むことや試験をクリアする事でAまでランクアップしていくらしい。


 と言っても、普通の冒険者は殆どがDランク止まり、CやBに上がる人は稀で、Aランクに居る人と言うのはかなりのレベルの奇人変人ばかりだとかなんとか。


 更にその上にはSランクというのがあるらしいのだが、Sランクの冒険者というのはギルド職員でも1回しかお目にかかった事が無いらしく、その容姿は既に人である事を捨てていたとかなんとか……。


 Sランクに上がる方法はギルド職員も知らないらしく、ランクを確認したければギルドカードが証明してくれるらしい。ただし、見た目でもう、こいつはまともな冒険者じゃない、Sランクに違いない! と判ってしまうらしいのだが…。


「身分証、初めて持つ……よ。何かの役に立つのか……な?」

「お店の会員証が持てるようになるでち。ポイント、貯められまちゅ!」


 まぁ、登録したての初心者ではロクに機能しないお飾りらしいのだが、実績を積んだ冒険者はこのカードで借金が出来たり、宿に無料で泊まれたり、医者を安く使えたり、物を安く買えたりするらしい。


「うーん、お金には困ってないし、俺にはあんまり必要ないかもしれないな」

「まぁ、この世界で暮らすなら、ギルド登録はお勧めですよ。私たちのような得体のしれない転生者でも最低限身元の保証をしてくれるわけですし、色々な情報が集まってきますから」


 そもそも自称女神なレム姉さんの身元保証って、誰がどうすれば出来るのだろうか?


 とりあえず仕事募集の掲示板を眺めると、Gランク向けの仕事は薬草の類の採集ばかりな事に気が付く。うちの大雑把なメンバーには絶対に向いていない仕事だ。


「こんなに必要なら、畑で栽培すればいいんじゃないの?」

「薬草は栽培すると手間が結構かかる上にあまり効かなくなるらしいですね。自然に生えている物を採集したほうが収入が良いらしいです。本当かどうかは知りませんけど。私、吸血鬼だからなのか、そもそも薬草って、あんまり効かないですから……」


 Gランク冒険者に出されている他の仕事でやれそうなものは、畑に現れる害獣駆除くらいだったので、とりあえず引き受けて街はずれの畑の近くで待機していると、依頼で予測されていたネズミのような生き物ではなく、割と大きなイノシシっぽい生き物が数頭走り込んできたので、2号の電撃で軽く倒してもらった。


「うん、雑魚でちゅね」

「イッ……イッ……イシシィィーンッ!!」


 絶命間際に何やら叫び出したイノシシの声に反応して、地平線の向こうから大きな音を立てて大群のイノシシが走ってくるのが見える。


「イノーッ!」「シシィーッ!」「イシシシィーッ!」


 そんなイノシシ軍の先頭を走る巨大イノシシの上に、殆ど素っ裸でふんぞり返っている謎のおじさんが居た。


 何故なのか大興奮したおじさんの極まった表情! 極まった眼力! やせ細った肉体を誇りながら、おじさんが吠える!


「イシシシィーッ! お前たち、走れぇ! 走れぇっ!」


 手にはペットボトルのようなものが握られており、乳首だけは葉っぱで隠されているのだが、股間は丸出し…というか見せつけるようなポーズを取っており、イノシシから伝わる振動で竿も玉も激しく揺れているように見える。


 いや、違う! 揺れているどころの話じゃない! こ、これは……!?


「愛するイノシシの自由を奪う不届き者はぁ、さっくり倒すにゃあああっ!!」


 ブルブルッ! ブルン! ブルルーン!


 竿はまるでプロペラのようにぐるぐる回転し、玉は上下に跳ねている……!プロペラとエンジンを装備し両手を翼のように広げたおじさんは、もしや……? まさか……? このまま加速して、空を飛んでしまうのではないだろうか!?


「な……なあマスター、あのおじさん、どう見てもボトルマスターだなあ……?」

「うーん……?あのくらい異常なほうが分かりやすい筈なんだが、逆にただの変態かもしれなくて、判りにくい気もする」

「ああ……! お肉が、いっぱい走ってきまぁす……! メッ……メス豚は……ぶおおお~ん!!」


 このままだと畑に大損害が発生するので、引き続き2号に電撃を放ってもらうと、まだかなり遠くのイノシシ達がバタバタと倒れていく。


「んふーっ、ちょっと数が多かったけど、雑魚でちゅね」


 野生の変態おじさんは遠目に見た感じ、イノシシに縋り付いて泣いているように見えたが、そのうち手に持っていたモンスターボトルが割れたのか、光に包まれてとびっきりの女子中学生に変化したように見えた。


「あれ? 私、誰? ここって何処なの?」


 依頼達成報告の為にイノシシ達の死骸を回収するのには魔法の保存袋が便利だった。女子中学生には街への行き方を教え、暫く暮らしていけるだけのお金を手渡したのだが、よく考えたらこの依頼を達成しても、今、差し出した金額には程遠い少額のお金しか手に入らないのではないだろうか?


「うーん、やっぱ俺には向いてないかもしれんなあ」

「もうちっとランクが上がれば、面白い討伐とかもあるんじゃねえの?」

「うーん?」

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