13 五人の少女とお部屋探し
俺は表面上平静を装っていたが、内心は恐怖で卒倒してしまいそうになっていた。
スキル『自信満々』と『やる気向上』が無ければ、今頃は泣いて蹲ってしまっていたかもしれない。
特に意味もなく若返った自分たち。ボトルマスターとの戦闘。怪しげな男達の声が突然聞こえてくる。ペットボトルに住んでいる5人の誘拐被害者と、その超能力。何処へ逃げてもお姉さんから逃げられない。レンタル鳥馬。女子中学生おじさん。
様々な異常が自分を取り巻いている。これらが目に映ってしまう現象の全ては、やはり何らかの薬物投与によるものであると考えざるを得ない。俺の身体は薬物に支配されてしまっているのか……?
この街には警察らしい組織が見当たらない。街の周辺には荒野が広がっていて、時々オアシス的なものはあるが、道路などはあまり整備されていない。実際には、カルト宗教の信者しかいない魔窟なのではないだろうか……?
俺の背筋を冷たいものが走る。今はとにかく、人がいる場所に移動したほうが良いだろう。
「あのぉ、私も鳥馬に乗せてもらえませんか? 一応女神だから平気なんですけど、その……! 足が疲れちゃって…!」
鳥馬に並走するカルト宗教お姉さん。こんなに早く走れるだなんて、やはり異常である。薬物の効果はまだまだ続行中のようだ……。
「駄目だ。そうやって近づいて、近距離から幻覚作用のある麻薬を打ち込むのだろう!?」
「ふぁっ!? ど、どうしてあなたは異世界転生を麻薬の幻覚だと勘違いされているのです!?」
「見れば解るだろう、こんな世界は現実にありえない!」
先ほど逃げ出した女子中学生に追いついてしまった。ハァハァと辛そうな息遣いの女子中学生に、救いの手を差し伸べたりはしない。だって、この子は本当はおじさんなのだから……!
「す、すいませぇん、助けてください~っ!」
しかし、原材料がおじさんだとはいえ、相手は助けを求める女子中学生だ。ぴっちりとしたセーラー服に身に包んで、青い香りを漂わせている。まだ若干の幼さを残しながら、大人への階段を登り始めている清楚な姿。
俺は勘違いをしていた。原材料がおじさんだとはいえ、女子中学生という唯一絶対の存在を見捨てて良いわけがない……! 鳥馬を止めて、しゃがませる。
「仕方がない。後ろに乗りなさい」
「ああっ! ありがとうございます!」
「私! 私も乗りますからね!」
街に到着して鳥馬を返却し、女子中学生に若干のお金を渡す。これだけあれば暫くは生きていけるだろう。
「あっ、ありがとうございます! 私、記憶が無いみたいで……。でも、暮らせる場所を探してみます!」
去っていく女子中学生を見送り、5人に出てきてもらい、昼食を食べることにした。適当に選んだ店でランチセットを7つ頼む。提供された料理はシンプルだが程よく味付けされており、全員が子供な為なのかおまけにプリンまで付いてきた。
皆でおいしく頂いて店を出ると、5人は昼寝をすると言ってボトルに戻ってしまった。幼児の身体なのでお昼寝が必要なのだろうか。
お姉さんは当然のように昼食を済ませた直後に寝てしまい、今、俺が背負っている。これは、この街に拠点が必要だな…。俺は先程見かけていた不動産屋に向かった。
不動産屋の男に話を聞くと、子供にでも現金先払いなら部屋や家を貸す事は出来るらしい。お金はいくらでも作れるので、保存袋から取り出すふりをしながら机の上に札束を積んでいくと、男は満面の笑顔になって敬語を話しはじめた。




