第64話 難易度5のダンジョン
「皆待たせたな、準備出来たから配信始めるぞー!」
ここはテレビスタジオ。ステージの中央でカメラに向かって愛想を振りまくのは俺。背後の大型スクリーンにはカメラの映像と視聴者のコメントが流れている。
@かにまる :来たー! 待ってた!
@golira_fight:かわいい
@蝙蝠くん :わくわく
@mamawa :笑顔ぎこちなくて草www
@大吉おじさん:がんばって! (^o^)/
おおむね好評、というより期待してくれてそうな反応だ。第一印象は悪くないだろう。この期待を裏切らないように頑張らなければ。
「初めまして、新人配信者のミョンチーです。今日は俺の配信見に来てくれてありがとな」
カメラに全身を見せるように一回転すると黄緑色の俺の髪がふわっと舞った。モニターに映ったそれを見て、やっぱり俺ってかわいいよなと再確認する。
これが俺の来世の姿。何の因果か、俺は女に生まれるらしい。頑張っておしゃれの仕方とか覚えないといけないだろうか。せっかくかわいく生まれるならそれを維持しないと損した気分になりそうだ。
少なくともダボダボの長ズボンに白シャツという今の恰好はファッションとして失格だと思う。来世ではやめた方が良いだろう。
仕方無いだろ? 教会で生き返る度に全ロスしてこの初期装備に戻されるんだ。死に覚えゲーみたいなこの世界では他の服を着るなんてもったいない。
@おっとこぬし:ミョンチーたんかわいいよハアハア
@mamawa :衣装のセンス独特で草
@yamada2025 :俺っ子とかキャラ作りすぎだろw
@おっきな翁 :なにするの? ダンスとか?
@golira_fight:かわいい
「これからがんばって活動していくので、よければ高評価チャンネル登録よろしくお願いします!」
カメラに向かって引きつった笑顔でお辞儀する俺。どうしてこんな事になったんだっけ?
時は少し遡る。
ステータスをランク4にまで上げた俺達は、ついにノーマルダンジョンの最高峰、難易度5に挑む事にした。
ノーマルダンジョンをクリアすればステータスガチャを引ける。難易度と同じランクのステータスが排出される仕組みだ。ボスダンジョンに挑むための準備として自身を強化するのである。
ちなみに今のステータスはこんな感じだ。
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名前 ミョンチー
ステータスロット
・雨乞いの名人(ランク4)
筋力:☆☆
耐久:☆
速度:☆☆☆
魔力:☆☆☆☆
器用:☆☆☆
スキルロット
・多才な奏者(ランク5)
音系能力詰め合わせ。
物理法則から乖離するほど消費魔力上昇。
・心のホットライン(ランク1)
対象1体を登録しテレパシーで通話できる。
対象と5㎞以上離れていないと繋がらない。
余剰ステータス
・彫刻的筋肉(ランク4)
・何でも屋(ランク4)
・どう見てもE(ランク3)
・不器用貧乏(ランク2)
・窮地のネズミ(ランク1)
余剰スキル
・慈悲深い処刑人(ランク4)
・嫉妬深い射手(ランク3)
・貧乏性な木こり(ランク2)
・壇上の校長先生(ランク2)
・独りよがりなパティシエ(ランク1)
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ガチャというだけあってステータスの配分はランダムだ。引いたステータスから1つを選んでセットする事が出来る。自分に合った配分のを引けるまでは難易度5に挑み続ける事になるだろうな。
一方でスキルはボスダンジョンをクリアしたらガチャで引ける。2つまでセット可能だ。この前のイベントでは一足先にボスに挑むことになったが、イベントが終わった今、スキルガチャは難易度5の攻略を完了するまではお預けだな。
と言う訳でマップから近場のダンジョンを適当に選んだ俺達。草原を進んでいるとポツンと建つ四角い建物が見えてきた。
2階建てのビル。明らかに場違いかつ異質だ。あれがそうだろう。
「ビルやんけ。この世界で見る事になるとはなあ」
そういうのは俺の仲間のケムシン。元社畜で今はパーティーのタンクを務める頼れる男だ。
この世界は中世ヨーロッパ風。建物は基本木造かレンガ造りだからな。ダンジョンでも無ければこんな近代的な造形とは無縁だ。久しぶりに見て日本に居た頃を思い出したのだろう。
ちなみにケムシンの今のステータスはこうだ。
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名前 ケムシン
ステータスロット
・バトミントン覇者(ランク4)
筋力:☆☆
耐久:☆☆
速度:☆☆☆☆
魔力:☆☆☆
器用:☆☆
スキルロット
・決死の魔女(ランク4)
全魔力を一点に集めて放つ事が出来る。
・歩く棺桶(ランク4)
致命傷を受けた場合、全身鎧を装着する。
この鎧は攻撃やその他の効果を無効化する。
余剰ステータス
・田舎のお地蔵さん(ランク4)
・王様の横に立ってるキャラ(ランク4)
・バランス重視(ランク3)
・魔法剣士見習い(ランク2)
余剰スキル
・不動のスナイパー(ランク3)
・怒りの農民(ランク2)
・バナナを盗られた猿(ランク2)
・臨時聖剣(ランク2)
・猫の目(ランク1)
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とりあえずビルの近くに寄ってみる俺達。窓が少なくて中がどうなってるかは分からないな。
「マオ、中の様子分かるか?」
『エコーロケーションを使えば大まかな構造までなら調べられます。魔力を5%ほど使用しますが、実行しますか?』
俺の言葉に答えたのはもう1人の仲間のマオ。とあるボスに搭載された賢者チートだ。俺が持つスキル、心のホットラインで念話し、ケムシンにも聞こえるよう多才な奏者で声を出力しているのだ。
「頼んだ」
『スキャン中……。1階は事務スペース、2階は全体が1つの部屋となっているようです。モンスター等は見当たりません』
なるほど。となるとシンプルな戦闘型ダンジョンじゃ無さそうだな。何かしらのギミックなり謎解き要素があるかもしれない。
「とりあえず入って調べてみるか」
「敵が後から出てくるかもしれんし、一応気を付けてな」
『ダンジョンは何でもありです。慎重に行きましょう』
俺達はダンジョンへと突入したのだった。
~嫉妬のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:テレビスタジオ
人数 :5名以下
難易度:☆☆☆☆☆
カクヨムにて同タイトルで先行連載中!




