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転生特典に雷魔法チートを要求したら最凶最悪のボスが誕生してしまった(詐欺)  作者: 源平氏
第一章 だから俺は生まれ変わりたいと思った
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第6話 クソゲー


 スライム相手に快勝した俺たちはダンジョンを進んだ。しばらくして次の部屋に到着。今度はスライム2体だった。床の上をピョンピョン跳ねている。


「今度は私の出番ね」


 そういってスイカが前に進み出る。次はスイカのスキルをお披露目すると事前に話し合っていたのだ。


「気を付けろ。さっきのより素早いぞ」

「分かってるわ。喰らいなさい! 『三点ブラスト』!」


 スイカが手のひらを向けて技名を叫ぶ。するとポポポンと炎弾が3発放たれた。炎弾が炸裂しスライムが炎に飲み込まれる。爆炎が晴れた後にスライムの姿は無かった。


 おお、すげー!


「気を抜くな。もう一体いるぞ!」

「私のもう一つの魔法を喰らいなさい! 『地誅』!」


 スイカが詠唱と共に地面に手をつく。するとスライムの足元から石のトゲトゲが生えそのままスライムを貫いた。かっこ良過ぎかよ!


「スライム相手に本気を出しすぎたかしら?」

「いい調子だ。このまま最後までクリアするぞ!」


 俺たちは完全に波に乗っていた。順風満帆。俺たちは意気揚々とダンジョンを進む。




 そして遭遇した3度目の敵。今度は色違いのスライムが一体だった。


 今更たかが一体のスライムなど余裕と思った俺達だったが、ここに来てある問題が起こった。





「三点ブラスト!」


 ……


「ダ、ダークバレット」


 ……


「地誅!」


 ……



 俺とスイカの魔法はすべて不発に終わった。視界の端に「しかし魔力が足りない」と表示されている。


 今までの戦いで魔力を使い切ってしまっていたのだ。



「『突撃指示』!」


 唯一魔法が使えたのは、杖の効果で魔力消費が少なく済んでいるテロテロだけだった。


 バフを受け俺の体が一瞬光る。


「行けミョンチー! 戦えるのはお前だけだ!」


 任せろ! てーい!


 俺は斧を投げつけた。しかし飛び跳ねるスライムの傍を通り抜ける。


 は、外れた!?



 俺の斧は手元に戻ってくる効果がある。だがそれよりも早くスライムが跳ねて来た。


「バカ! 逃げろ!」

「へ!?」


 スライムの体当たりを顔に受け、俺の頭がはじけ飛んだ。









「のわあああああああ!!?!?」


 ガバッと飛び起きる俺。そこはダンジョンではなく教会だった。


「おお、ミョンチーよ。死んでしまうとは情けない」


 クソ神父が俺を見下ろしていた。見下ろすっていうか見下してるだろお前!


 っていうかケガは!? 俺の顔はどうなった!?


「安心なされ。教会に来ればダメージや魔力はリセットされますぞ。金なども取りませぬ」


 よ、良かった……。本当に生き返れるんだな。半信半疑だった。まさか一撃死するとは。




 いや、それよりもテロテロとスイカはどうなった!? もうあいつら戦えないだろ!


 いや、生き返れるなら安心して待ってればいいのか?


「ミョンチー! 無事か!?」

「良かった! 本当に生き返ってる!」


 二人が教会に飛び込んできた。どうやら逃げ戻って来れたらしい。とりあえず全員無事だと分かり、俺は一安心したのだった。







 作戦その1:MPつかうな


「ムリムリムリ! 近接戦なんて無理だって!」


 俺は恥をも忘れて逃げ惑った。顔ミンチがトラウマになった俺にそんな勇気はなかった。





 作戦その2:杖は鈍器


「杖がっ!? 杖が折れたああああ!」


 教会に戻ったら直った。





 作戦その3:皆で投石


「当たれえええ!」


「死んでえええ!」


 効いてねええ!





 作戦その4:スルーしようぜ


「扉が開かないわ!?」


 倒さないと進めない仕様だった。





 作戦その5:テロテロが斧使えばいいんじゃね?


「おっ、重い!」


 俺以外には持ち上げられなかった。






 空気はどこまでも重くなっていった。


 テロテロは道端の小石を全力で蹴り飛ばし、スイカはただひたすら爪を噛み、俺は今まで以上に何も言えなくなっていた。


「……やっぱりミョンチーちゃんが戦って魔力を温存するべきよ」


 申し訳ない。本当に申し訳ない。


 だが一つ言わせて欲しい。俺は魔法が使ってみたかったから付いて来ただけで、本気でダンジョンをクリアしたい訳じゃ無いんだ。


 今さらそんな事言ったらキレられそうで言える雰囲気じゃないのが辛い……。



「本人が無理と言っているんだ。他の方法を考えるべきだろ」

「何? この子のわがままは通って私の意見は却下するの?」

「そうじゃない。人には出来る事と出来ない事があると言っているだけだ。そういうお前だって後半はただ見てただけじゃないか。何かの役に立ってから言ったらどうだ」

「私には魔力を温存するっていう役割があるのよ。あなただって後ろでただ指示してるだけじゃない」

「なんだと!?」


 ど、どうしよう……、止めないと。でも一番の原因の俺に発言権なんてあるのか? 何て言えばいいんだ!?



 言い争いは過熱していく。



「誰がオタサーの姫ですって!? もう頭来た! 私は別の人とパーティーを組むわ! この指示厨!」

「誰が指示厨だと!? お前なんかこっちから願い下げだ! お前もそうだよな! ミョンチー!」


 こっちに振るなよ! 肯定も否定もできねーよ!


「その子の方がよっぽど姫ムーブしてるじゃない! ズルいわよ、私よりちょっと可愛いからってチヤホヤされて! もう付き合いきれない! さようなら!」

「どこへでも行け。二度と俺に話しかけるな!」


 スイカは去ってしまった。申し訳ない。申し訳ない……



「ミョンチー、気にするな。お前は俺に着いてくればいい。お前の事は俺が守ってやる」


 そう言って俺の肩に手を回してくるテロテロ。え? まさか口説いてるのか? 気持ち悪!?



 あ、そうか。まだ言って無いもんな。



「あの……」

「ん? どうかしたか?」

「俺……男です……」


 テロテロは去っていった。


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