第53話 幼馴染が魔物に殺された復讐心でチートに目覚めた俺はこの世から魔物を絶滅させる事にしました ~後に世界統一を成し遂げる少年は強すぎる力を存分に振るい無双する~
『俺の名前はシャモ。このドメマル村の猟師だ。猟師と言ってもまだ見習いだけど。
なぜ見習いなのかというと、シンプルに成人前だからだ。成人前の子供は大体が親の仕事を見習いとして学び、成人してようやく一人前と認められるのである。
ちなみに俺の両親は俺を産んですぐに死んでしまったらしい。だから俺を育ててくれているのは猟師のルイビおじさんとその妻のアグーおばさんだ。2人は俺を実の子のように育ててくれている。
一人前の猟師になって2人を安心させてあげるのが俺の目標だ。
「あら、おはようシャモ。今日はずいぶんと早いのね」
「おはようアグーおばさん。だって今日は祝福の儀の日だから」
そしてその目標が叶うのが今日、つまり俺が成人する日だ。今年成人する子供たちは祝福の儀で、神さまからスキルを1つ授けられるのである。
「シャモ、ついに成人だな」
「おはよう、ルイビおじさん。どんなスキルが貰えるのか気になって早く起きちゃったよ」
「シャモは狩りをずっと頑張って来たから、きっとそれに役立つスキルがもらえるわよ」
「そうだといいんだけど……」
スキルはその人の経験や才能に合ったものがもらえる事が多い。俺は猟師見習い以外の仕事はあまり経験した事無いから、多分大丈夫だ。きっと狩りで役立つスキルが手に入るはずだ。
「どんなスキルが授けられようと、それで人生が決まるわけでもそいつの価値が決まるわけでもない。そんな気負う事無く、いつも通りでいいぞ」
「そっか。そうだね。わかったよルイビおじさん」
スキルは村の中央の祭壇で与えられる。俺は手早く朝ごはんを食べ終わると、すぐにその祭壇へと向かった。
村の中央に行くと、祭壇を囲うように村人たちが集まっていた。とりわけ祭壇の近くには子供たちが多い。俺と同じく今日成人する子ばかりだ。
「おう、シャモ。遅かったな。お前で最後だぞ」
「おはようマディ。早起きしたつもりだったんだけど」
同じ年のマディが話しかけて来た。その体格と力強さで同年代の中ではリーダー的な存在だ。マディは戦闘スキルを貰って村を守る戦士になるんだと昨日豪語していた。
「来ないんじゃないかと心配したぞ。俺が英雄となる瞬間を見れないのはかわいそうだからな」
「あはは……間に合ってよかったよ」
「今日からお前たちの事は俺が守ってやるよ」
俺の背中をバンバンと叩くマディ。我が強いんだけど、悪い奴じゃないんだよな。
「おはよう、シャモ君」
後ろから声をかけられた。良く知っているその声に僕はすぐに振り返る。
「あ、コーちゃん。おはよう!」
赤味掛かった栗毛が特徴的ですらっとした立ち姿の彼女は俺の幼馴染だ。村1番の美少女でもある。
愛称はコーちゃん。本名で呼ばれるのは恥ずかしいからと愛称を使うようずっと皆に言っている。だから村の皆は彼女をコーちゃんと呼ぶのだ。
「今日は一段と元気ね。そんなにスキルが待ち遠しいの?」
「え、そう? 俺はそこまで期待してないけどなあ。おじさんもスキルが全てじゃないって言ってたし」
全く期待してないとは言ってない。でも、僕が元気なのはそれが1番の理由じゃないんだよなあ。
俺は周りを見回すふりをしてこっそりコーちゃんの顔を横目で見る。会うたびに舞い上がってしまうクセ、いい加減直さないと。
「おうおう、2人とも随分とお熱い事で」
「なに言ってるのよアディ。私たちはただの幼馴染よ」
「そ、そうだよ。茶化すなよアディ」
仲がいい事は否定しない。少なくとも俺からは。……そうか、ただの幼馴染かぁ。
「ったく、こりゃまだまだ時間かかりそうだな」
俺とコーちゃんの様子を見て、アディは肩をすくめたのだった。
そうこうしている内にいよいよスキルの授与がはじまった。
村の長老が1人ずつ名前を呼ぶ。呼ばれたら祭壇の前に行って祈りを唱えるのだ。そうしたら祭壇から光の玉が飛び出し胸に吸い込まれスキルが宿る。
ちなみにスキルが手に入ったら長老がその場でステータスを確認して、皆にも発表される。
「おっしゃあ! 大斧スキルだ! 俺が英雄だ!」
アディは斧を召喚できるスキルを手に入れたらしい。武器スキルなら十分戦士としてやっていけるだろう。本人も大満足といった顔だ。
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ミノタンロース(ランク3)
大斧を召喚し扱う事が出来る
迷宮に巣食う牛頭の怪物と同等の力を得る
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今度はコーちゃんの名前が呼ばれた。一体どんなスキルを授かるんだろう。コーちゃんの家は普通の農家だから、やっぱり農業に役立つスキルだろうか。
「え!?」
スキルを確認してコーちゃんが慌てる。長老がスキルを読み上げた。
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チキンレッグ(ランク1)
足が細くなる
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村1番の美貌を持つコーちゃんが、さらに美脚に……!?
みんなの視線がコーちゃんの生足に集まる。俺も例外ではない。
その脚は、確かにいつも以上に艶めかしく見えた。
「ちょ、見ないでよ! 変態!」
「そうだ。コーちゃんが嫌がってるだろ!」
すかさずコーちゃんの前に立つ俺。コーちゃんの脚は見せものじゃない!
「あんたも見てたでしょ馬鹿!」
俺はコーちゃんにしこたま突っつかれたのだった。
そんなハプニングがありつつも祝福の儀は進み、ついに俺の名前が呼ばれた。俺はごくりとつばを飲み込む。
「大丈夫?」
俺の緊張を察したのか、コーちゃんが顔を覗き込んできた。
「うん、行ってくる」
俺は祭壇の前に立ち、そして神さまに祈りを唱えた。そして手に入ったスキルを確認する。
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原初の卵(ランク1)
「世界で最初の卵」という概念を持つスキル
持ち主の強い感情により孵化しスキルを与える
このスキルは孵化により消滅する
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「要するにスキルが1つ貰えるって事?」
「ランク1ならどうせ大したことないだろ」
「残念だったな、シャモ」
前例のないスキルではあったが、皆の反応はそんな感じだった。良いよ別に。猟師になれないわけじゃないんだし。
この時はまだ誰も、このスキルの正体を理解していなかった。
「お、卵6個もある。大漁だな」
その日の午後、俺は近くの森に来ていた。成人したからと、おじさんが1人での狩りを許してくれたのだ。
森に来てまだ1時間ほど。それだけで野鳥が3羽と卵が10個手に入っている。今夜はご馳走だな。これだけ成果を出せればおじさんも安心して独り立ちを認めてくれるだろう。
だが調子にのってはいけない。ここは危険な森の中。狼や熊といった猛獣に出くわす危険は常にある。最悪の場合、魔物が出る事もあるのだ。
家に帰るまでが狩りだとおじさんもよく言っていた。成果はもう十分あるし、欲張らずにそろそろ帰るか。
俺はまっすぐ村を目指した。
そして村が見える距離まで来て、俺は村の異変にようやく気付いた。なんだか村が騒がしい。悲鳴のような声も聞こえてくる。
「何かあったのか?」
俺は村へと急ぐ。村を囲う柵の出入り口の1つから中へ。
そこで俺が見たのは――
村の皆の、無残な死体だった。
「な……なんだよこれ……!」
皆が血を流して倒れている。ピクリとも動かない。首を刎ねられているものもあった。
死体からはまだ血が流れ続けている。死んでからまだそんなに経ってないという事だ。まだ村の中に犯人が居るかもしれない。
村の中心から誰かの悲鳴が聞こえた。
「まだ生きてる人がいるんだ!」
俺は声のした方へと走った。きっと今まさに犯人に襲われているに違いない。俺に何ができるか分からないけど、それでも何とかしないと!
足がもつれる。息が苦しい。なんでだよ、森でもそんなこと今まで無かったのに。
一体なんでこんな事になったんだ。誰の仕業だ。盗賊団でも来たのか?
「誰か! 誰か返事してくれ!」
不安が押し寄せ俺は叫んだ。叫びながらも走り続ける。だがどこを見ても死体だけ。全員知り合いだ。
マツサカおじさんも、サクラ君も、イベリコ姉さんも、ブロイラー先輩も皆倒れている。だが立ち止まってしまいそうになるのを抑えて俺は声のした方へと走る。
そして、俺は村の中央通りに飛び込んだ。
そこに居たのは、
「ま、魔物……」
俺たちと同じ2足歩行で、言葉を理解し、でも俺たちと相容れないほどの残虐性をもつ悪魔のような生き物。
それが村を襲っていたのだ。
かつてこの世界は魔物に支配されていたと、そう言い伝えられている。奴らは世界を覆いつくすほどの勢いで増え、そして自分たち以外の生き物を、環境を、支配して都合よく作り替えていった。
魔物たちは世界を蝕み続けた。自然界の生命力を吸いつくした奴らはそれでも自分たちの欲望を満たし続けるために、魂を冒涜する禁断の邪法を生み出したらしい。そして滅亡した。
悪魔のような生き物、略して魔物。またの名を人間。
今ではほとんどが死に絶えているらしいが、それでも僅かに生き残った魔物がこうして俺たちを襲う事はある。
でも、まさか村が襲われて壊滅するだなんて、思ってもみなかった。
中央通りでは数人の生き残りが人間と戦っていた。そしてそれ以外の村人達が何人も横たわっている。馬も牛も豚も鶏も区別なく襲われたのだ。
「嘘……だろ……そんな……」
倒れている中にはコーちゃんも居た。
「コーちゃん!」
俺は駆け寄りコーちゃんの容態を確認する。よかった、まだ息はある。
「コーちゃん! しっかり!」
「……シャモ君?」
「よかった! すぐ手当するから!」
「無理よ。血が、止まらないの」
「すぐに傷をふさぐから!」
「もう、体の感覚も無いの。眠くなってきちゃった……」
「しっかりして! きっと助かるから」
俺は傷口を必死で押さえた。だがどんどん血が出てくる。傷口を押さえている俺の両羽が血を吸って赤く染まっていく。止まらない。止められない。
「そんな……」
コーちゃんはもう助からない。そう悟って、俺は目の前が真っ暗になった。
「ねえ、シャモ君。最期に1ついいかな?」
「なに?」
「好き」
「……っ!」
コーちゃんが、俺の事を!?
「シャモ君は、どうなの?」
「俺だって、俺だってコーちゃんのこと好きだ! 大好きだよ!」
「だったら、名前で呼んで? シャモ君には、本名で呼んでほしいな」
そう言って力なくそう笑うコーちゃん。俺は泣き顔のまま、それでも必死に笑顔を作って、それに応えた。
「愛してるよ、コーチン子ちゃん」
コーチン子ちゃんはそれを聞いて、笑顔のまま目を閉じ、そして動かなくなったのだった。
耐えきれず、俺は泣いた。
「コケコッコーーーーーー!!!!」
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条件を達成しました。
スキル「原初の卵」(ランク1)が孵化します。
成功しました。
スキル「原初の卵」はスキル「原初のニワトリ」(ランク100)に変化しました。
始祖の発生を確認しました。
報酬として全ステータスをカンストしました。
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俺の頭に流れてくる膨大な量の知識。特に「原初のニワトリ」というスキルの知識は、このスキルがチートと呼べる代物だと悟らずにはいられない代物だった。
そして気づく。この力の前には人間など塵芥も同然だと。
そうだ、今の俺なら人間どもを駆逐できる。この世から1匹残らず絶滅させてやることができる。
待ってて、コーチン子ちゃん。
俺が必ず人間どもに復讐してみせるから。
まずは村を襲ってる奴からだ。これ以上村の皆を殺させない!
そうして俺はすぐに、村を襲った人間を瞬殺したのだった。
……以上が“廃村のダンジョン”のギミックの脚本です』
「つまり、俺たちがヒロインを殺さなかったからギミックが発動しなかったって事?」
『その通りです』
俺たちは薪を手に入れるために廃村のダンジョンに来たのである。そんでもって薪はボロ家を解体すれば手に入るから、最低限襲い掛かってくる家畜だけを倒していた。
ヒロインは襲ってこなかったから倒してないし、主人公はチートに目覚める事無く俺たちに挑んできたから瞬殺できた。
主人公を倒したことでダンジョンはクリアになった、と言う訳である。
「クリアのために家畜を全滅させようとすると逆に無理ゲーになるのか。とんでもないひっかけだな」
『ボスと同程度のスペックと思われるので、頑張れば倒せなくはないかもしれません』
「ランク4ダンジョンでそんな苦労する意味無いんだよなあ」
廃村のダンジョン:クリア




