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第51話 土づくり


「あ、帰って来た! 無事だったんスね!」


 ジョルデさん家に着いたらシリルさんが先に帰ってた。俺たちはバケツを見せる。


「おー、満杯! さすがっスね」

「ケムシンが頑張ってくれたからな」

「いやいや、2人が守ってくれたからや」

「すみませんっス。気が付いたら教会で復活してました」

「いやいや、あれはあのダンジョンが酷かったので」

「いやいや、死んだら意味ないっス」

「いやいや、体張ってくれたやん」


 謙遜のループに入った俺たち。


「いやいや」「いやいや」「いやいや」


「何を遊んでいる。次の作業に取り掛かるぞ」

「「「あ、はい」」」


 ジョルデさんに叱られてしまった。反省反省。





●レンガの作り方その2:レンガを砕いて砂状にする



「うおおおおおおおお!」


 ガンガンガンガンガン!


 金槌を振る。ひたすら振る。振り続ける。


 俺の渾身の振り下ろしがレンガを粉々にした。だがまだ破片が大きい。もっと細かくしないと。


 と言う訳で仕上げは隣のシリルさんにお願い。


「ふおおおおおおおお!」


 ガガガガガガガガガガ!


 シリルさんがすさまじい早さで金槌を振るう。速度ステが高い分連打が利くのだ。


 筋力の高い俺が大きく砕いて速度のあるシリルさんが細かくするという最強の分業である!


「よいしょ……」


 その隣ではケムシンが立て掛けたクワに乗るようにもたれかかっていた。クワの刃の側面でレンガを押しつぶしているのである。それだけでレンガの塊はクッキーのようにボロボロと崩れて粉となっていく。


「チートだ! ここにチートが居る!」

「これは運営に報告しないといけないっスね」

「楽でええわー」


 すっげー棒読み! しかも無表情!


「くそ、負けるか!」


 ガンガンガンガンガン!


 俺たちは金槌を振り続けた。




「え、あれだけあったのにもう終わったの?」


 完了したと報告したらジョン君が普通に驚いていた。4時間砕きっぱなしで結構つかれたぞ。最後はケムシンのクワですりつぶした。


 俺たちは粉と化したレンガを確認してもらう。


「ちゃんと細かくなってる……。あーあ、せっかく石臼用意した所なのに」


 石臼(いしうす)


「砂利くらいまでの大きさになったら、後は石臼で挽けば楽にできるんだよ。ほら、水車回ってるだろ?」


 ジョン君の指さす先には巨大な水車。


「セットすれば後は放っておくだけで出来るから便利なんだ」

「水力チート……」


 俺たちは膝から崩れ落ちた。





●レンガの作り方その3:粘土をふるいにかける



 コンコンコン……


 ふるいを叩いて粘土の粉を桶に落としていく。残るのは小石と粘土のかたまり。水分が少ないから、かたまりを指でつぶすとボロボロと細かくなっていく。それをまたふるいで落とす。


「地味っスねー」

「地味ですね」

「……」


 ひたすら地味な作業が続いた。





●レンガの作り方その4:土を練る



 と言う訳で砕いたレンガの粉と粘土を混ぜていく。


 が、ここでチェックが入った。粘土の具合を確認するジョルデさん。


「少し待ってろ」


 そう言ってジョルデさんが持ってきたのは、赤い土と白い粉。どちらも少しずつ。


「これも一緒に混ぜろ。完全に均等になるようにな」

「あ、はい」


 全部一度に混ぜるには量が多いので分割して混ぜていく。配分と水の量はジョルデさんジョン君にお任せだ。俺たちはステータスという高い体力を活かして単純力作業。


 ひたすら土を混ぜる。こねる。練る。


 が、やはり俺たちは素人。最後の仕上げはプロの2人が行った。なんでも中の空気を抜ききらないと焼いた時に爆発するのだとか。


 土を練る2人の手際はすげー良かった。素人でも分かる位に。





●レンガの作り方その5:レンガの形にする



 石畳のレンガはこぶしよりやや大きめ。立方体に近い形状だ。それをひたすら作っていく。


 木製の型に粘土を押し込んでいく。そして型から抜いて1つ完成。


 なお目標は1000個。まだまだ先は長い。


「うへぇ、腕パンパンっスよ」

「俺は腰が……」


 かれこれ7時間はぶっ通しだ。3人がかりでこれ。もう日が暮れるぞ。



 チラッ。


 俺はケムシンの様子を伺った。どうしたんだろう、さっきから全然喋らない。


「……」


 ケムシンは死んだような目で作業を繰り返していた。





●レンガの作り方その6:日陰干し



 すっかり夜になった頃、ようやく俺たちはすべての粘土を成形し終えた。


 後半は俺とシリルさんもずっと無言だった。それくらい大変だった。


「うわ……全部出来てる」


 確認に来たジョン君からは驚きの声。そんな反応されると頑張った甲斐があるというものだ。


「てっきり途中で投げ出すかと思ってた」


 信用ゼロかよ!


「お疲れ。できたやつは棚に置いてって。くっつかないように隙間開けて」


 棚は家の外の壁にあった。ここで2日ほど乾かすらしい。


「並べ終わったら今日は終わりでいいよ。また朝来て」

「あ、はい」


 こうしてレンガ作り1日目は解散となった。



 それにしても疲れたな。思えば朝からほぼ休憩なしの過密スケジュールだったぞ。


 明日からしばらくはレンガの日陰干し。そしてその間に薪集めだ。つまりダンジョン。


 体を動かしたら少しは気晴らしになるだろうか。俺はそんな事を考えていたのだった。


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