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第49話 閲覧注意(黒塗り修正済)


「ゲコ」


 そこには1匹のカエルが居た。アマガエルみたいな小さい奴。そいつが川の向こう岸でじっとしている。


(マオ、あれほんとに敵か? ただの野生動物じゃなくて?)

『ダンジョンに野生動物は居ません。間違いなく敵モンスターです』

(あ、そうなんだ)


 念のため斧を構えておく。カエルって事は毒とかか? さすがにあのサイズで捕食攻撃はして来ないはずだ。


 だが数秒経ってもカエルに動きはなし。せいぜい喉が膨らんだりしているくらいだ。


「ほんとに敵っスか?」

「そのはずですけど……」


 見た所害は無い。何もして来ないならこのままそっとしておいた方が良いか?


 俺がそう考えていたら、


『警告。あのカエルから精神干渉を受けています』

(え!?)

『解析完了。あのカエルは他者の注目を集めつつ戦意を消極的にするスキルを発動しています』

(なんのために?)

『不明です』


 マオの解析能力にはいろいろ制約が多い。まず、俺が見た物事についてしか解析できない。俺の目を通して解析しているから当然だ。


 もっと詳しく言うと、見ている間に起きた事についてしか解析できない。敵がスキルを使ったりステータスを発揮する場面を目撃しないとその内容が分からないのだ。


 まあ見ただけじゃ分かる訳無いだろって所まで解析してくれるから十分すごいんだけど。


 要するにだ、2回目以降は対策を練れる反面、初見はマオのサポート無しで対応しないといけないのである。



 ここはランク4ダンジョン。絶対なにかあるだろ。注目を集めるだけの無害なカエルなはずがない。きっと今に飛び掛かってくるはず。精神操作なんかに負けるな。集中して奴の動きを見るんだ。



『警告! 血圧が急激に低下しています! 流血の可能性大!』

(え? カエル全然動いてないぞ!?)

『今すぐカエルから目を離してください!』

(え、でもカエルが――)

『ダメージの確認をしてください!』


 脳内で叫ぶマオ。俺は自分の体を見た。そこには、





 手足に吸い付く巨大なヒル共が居た。


「のわあああああああっ!!?」


 その数10匹! まるで俺の手足から祟り神の触手が生えたみたいな光景に血の気が引く。


 パニックになった俺はとっさにむしり取り川へ投げ捨てた。だが無理に引き剥がしたせいだろう、噛まれた所から血が止まらない。そして急に眩暈がした。視界が白くなり膝をつく。


『貧血です。気をしっかり保ってください』

(だ、大丈夫!)



 そういえばケムシンとシリルさんは!?


 ケムシンは……異常なし。せっせと粘土を掘っている。じゃあシリルさんは?


 俺はシリルさんに目を向けた。そこには、触手の塊が立っていた。



「ひえっ!?」


 何あれキモイ!



 触手が一斉に地面に落ちた。否、シリルさんに纏わり付いていたヒルたちが離れたのだ。そしてあらわになったシリルさんの体は、カラカラに乾いていた。


「シ、シリルさん!?」


 光となって消えていくシリルさん。干からびて死んでしまったのだ。



「ゲコ」


 カエルの鳴き声がした。そして視界の端になにか巨大な風船のようなものが映る。


「今度は何だ!?」


 それは風船ではなかった。空気をひたすら吸い続け、今もなお大きくなっているそれの正体は、あのカエルだった。


 現在気球くらいの大きさ。


「でかっ!?」

『見てはいけません!』


 あんなでかいの嫌でも視界に入るだろ!


 突然カエルが黒く塗りつぶされた。マオが視界に割り込んで編集したのだ。映像でもないのに修正済みの光景というのはそれはそれで気になるが、おかげでカエルに目が釘付けにならなくなった。


 俺の足にまたしてもヒルが吸い付いていた。


「ぎゃああああああ!」

『ヒルは気配遮断のスキルを所持しています。見えない訳ではないので周囲を警戒してください!』


 ヒルを引きはがした俺はマオに促されて周りを見渡す。ヒル共が俺を囲んでいた。まじかよ……。


「キシャ―!」


 ヒルの1匹がジャンプした。円形の歯をむき出しにして飛び掛かってくる。


「キモイんだよ!」


 斧スイング! ヒルは真っ二つになった。


「キシャ―!」

「キシャ―!」

「キシャ―!」

「キシャ―!」

「キシャ―!」 


「うひいいいっ!」


 1匹ずつ斬っていては間に合わない。俺は斧をラケットのように持ちまとめて吹っ飛ばした。耐久は低いらしい。それだけでヒルが破裂して死んでいく。



 隙を見てケムシンを確認。大丈夫、ヒルは俺だけを標的にしている。だが俺が死んだらヒルはケムシンを狙うだろう。俺が食い止めないと。


 が、こいつら草むらからどんどん出てくる。ひょっとして無限湧きか? どうやったらこのダンジョンクリアになるんだ!?



 候補として考えられるのは、カエルを倒す事。


 俺は危険だと思いつつもカエルの方をチラ見した。視界一面が真っ黒に編集される。


(あの、マオ? カエル今どうなってるの?)

『小さめのマンション並みの大きさになっています』



 いやいや……


 いやいやいやいや!



 でかすぎるだろ!


 絶対何かするつもりだろこれ!


 いやはっきり言おう。自爆だろ! 自爆の準備だろこれ!




「もう……吐きそう……ゲコ」


 カエルが喋った。


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