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転生特典に雷魔法チートを要求したら最凶最悪のボスが誕生してしまった(詐欺)  作者: 源平氏
第一章 だから俺は生まれ変わりたいと思った
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第35話 ケロンチョという男


 ボスは数度の雷撃で先発の15人をオーバーキルし、そして魔力切れを起こした。


 そのタイミングで残りの俺達はグラウンドに突入。感電による集団死を起こす事なくボスを包囲した。


 立てた作戦はここまで。あとはガス欠のボスを袋叩きにするだけで済む。


 遠野正平というボスは短期決戦に特化したせいで、戦い続ける性能に欠けていたのである。



 とは言えだ。



「あの、ケロンチョ……さん。このボス物理も強いんじゃ?」


 何しろ最高クラスの身体能力と達人レベルの剣術だ。無双アクションゲーみたいになるんじゃないか?


「この世界での身体能力の最高って、ステータスが全部☆5って事なんですよね」


「そ、そうなんですか」


「剣術はまあ厄介ではありますけど、剣1本では、ね」


「なるほど……」


 筋力や速度が☆5の奴は転生者にもそれなりに居るはず。なら頭数がものを言うはずだ。このボスが狙い目なのも納得である。



 実際、転生者達に囲まれてボスは苦戦している。そのステータスと剣術で何とか凌いではいるが、どう見てもじり貧。じき追いつめられるだろう。




 ちなみに俺はケロンチョと共に後方で待機中だ。ケロンチョは指揮のため。俺はボスの情報をいつでもケロンチョに教えられるように。


 あとケムシンも一緒に居る。スキルの強さを買われて温存だ。



 もはや勝ち確とは言え、一応念のためだ。このまま何事もなく攻略出来ると良いんだが……。




 あ、ボスの左腕が吹っ飛んだ。勝ったわ。




「勝ちますねこれ」


「ええ、我々の勝ちです。ご愁傷さまですね、遠野さん」


「遠野じゃ無くてミョンチーです。……ご愁傷って?」


 俺は横のケロンチョを見上げた。ケロンチョの目は笑っていた。


「ケムシンさん。気が変わりません? 転生前夜(うち)に入る気に」


「あ? またかいな」


「だって考えてみてくださいよ。転生するためには、ボスを倒すためには仲間の協力が不可欠なんですよ? じゃあボス戦で仲間が協力してくれる理由って何だと思います?」


 もったいぶることでケムシンの興味を引くケロンチョ。演説が上手いな。転生者をまとめて来ただけの事はある。


「自分が他人に協力する場合を考えれば分かりますよね。そう、スキルが手に入るからですよ!」


 バッと両手を広げるケロンチョ。ジェスチャーすら交えて来た。ノリにノッているのが良く分かる。


「ほー」


「まだ分かりませんか? もう遠野さんと一緒に居る意味は無いんですよ。遠野さんのボスはもう討伐されます。イベント後に遠野さんの転生を手伝っても、もうスキルは手に入らないんですよ」


「ミョンチーが俺を手伝ってくれる場合もあるやろ?」


「手伝うという点ならうちの方が役に立ちますよ。うちは精鋭ぞろいです。遠野さん以上の人材を保証しますよ?」


「……」


「どうです? うちに入りたくなって来たでしょう? 絶対にこちらの方が良いですよ!」


 まじかこいつ……。とんでもない奴だな。


「だから俺のボスを狙ったのか? ケムシンを手に入れるために」


「嫌ですね遠野さん。偶然ですよー。あなたのボスが弱いと分かったから狙っただけです。言いがかりはやめて下さい」


 しらを切るつもりかこいつ。


「それにもし私があなたのボスを意図的に狙ったとしたらなんなんですか? 会議に出席しなかった人に後から文句言われても困るんですよ。こっちは皆さんが1つでも多くスキルを手に入れられるようにしてあげているのに」


 と思ったら開き直りやがった。こんなんがリーダーやってたのか。戦慄するわ。



「ケムシンさん、迷う事なんてありませんよ。あなたにとってはメリットしか無いのは分かったでしょう?」





 なにが戦慄かって、こんな事してケムシンがなびくと思ってるのが戦慄だ。


「断る」


「え?」


「やから断るって。もう絡まんといて」


 ケムシンはただそっけなく、そう言い放った。






 ケロンチョが最初にケムシンに声をかけたのは、1体目のボスを攻略した直後。パーティーに入らないかという誘いをケムシンは断った。ケロンチョは食い下がり、俺の名前を聞き出す事に成功した。


 ケロンチョが俺の排除を考え出したのはこの時からだった。


 とはいえ今回の件は偶然の面も大きい。偵察作戦は本来の目的通り、勝ち目のあるボスを探すために行わわれた。ただしボス攻略組が攻略していないボスの中からという裏の条件はあったが。


 ケロンチョが本格的に動き出したのは、選出された候補の中に俺の名前を見つけた時だった。




~遠野正平のダンジョン~


区分 :ボス

タイプ:コロシアム

人数 :8名以下(解除)

対象者:ミョンチー




 ケロンチョは会議で俺のボスを狙うべきと強く主張した。元々ケロンチョは会議メンバーの中でもトップ。反対するのはホスディアなど一部の外野のみだった。


 俺のボスを狙った理由はケロンチョが説明した通り、俺からケムシンを引き離すため。そのために俺達を自分の近くに配置し、邪魔なホスディアは突入班に入れて早々に排除した。


 目的のためなら手段を選ばない男。それがケロンチョ。徹底した損得勘定で考える現実主義者。その性質がボス攻略に向いていたからこそ周りは付いて行き、ケロンチョはトップになった。



 だがケロンチョは間違っていた。他人が損得だけで動くという根本的な思い違い。


 だから条件を整えればケムシンが自分の下に来ると思い込んでいた。


 彼はあまりにも、他人の感情に疎かったのである。



 これが、ケムシンを強引に勧誘してきた場合に推測される、ケロンチョの行動と人物像。




 ってホスディアが言ってた。


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