第3話 人生って、生まれる時が一番のガチャだよな
ステータスを確認すると、俺の名前はミョンチーだった。これが来世の名前らしい。せめてもうちょっとまともな名前は無かったのか。
「中略。ではさっそくスキルガチャを引いてみましょう」
中略って言った!? この神父今中略って言ったぞ! え、ガチャ!?
「では御神体の前で跪き、私に続いて祈りを唱えてください。リピートアフタミー?」
え、祈るの? こんな人を騙すような神に? いやでもスキルガチャは気になるぞ。くそ、仕方ない!
俺はしぶしぶ石像の前で膝をつき指を組んだ。
「私は生きる気力に乏しい人間です」
「私は生きる気力に乏しい人間です」
いや、何言わせるんだよ。
「私は浅ましくも自分の欲望を満たすために神に縋りついた愚か者です」
「私は浅ましくも自分の欲望を満たすために神に縋りついた愚か者です」
いい加減キレるぞ?
「どうかこの惨めな人間に施しをお与えください」
「どうかこの惨めな人間に施しをお与えください」
畜生めええええっ!
そうして祈りを唱え終わるとどうだろう。石像が仄かに光を帯び、そして2つの光の玉が俺の胸元へと吸い込まれていったではないか。
「さあ、今あなたにボスへと立ち向かう力が与えられました。ステータス画面をご確認ください」
「ス、ステータス……」
再び目の前に現れるウインドウ。その下の方の欄に、さっきは無かった2つのスキルが並んでいた。
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余剰スキル
・貧乏性な木こり(ランク2)
・嫉妬深い射手(ランク3)
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おおっ、これが俺のスキル……!
「今回を除き、スキルガチャは後述の特定のダンジョンの初回クリア時に引く事が出来ます。ただし使用できるのはスキルロットにセットしたスキルのみです」
スキルロットにセット?
「ではスキルロットにスキルをセットしてみましょう。表示されているスキルにタッチして下さい」
試しに「嫉妬深い射手」に触れてみると、「スキルロットにセットしますか?」と確認ウインドウが出てきた。
「『はい』を押す事でセットできます。なおスキルロットは1人2枠までです。既に2つセットされている場合は、どれか1つを外す必要があります」
武器は装備しないと使えないってやつか?
てかスキル2つまでって少なくない? いくら生き返れるからってチート相手に勝てるのか?
「第九項、ダンジョン」
いやお前さっき第二項って言ってただろ! どんだけ端折ったんだよ!
「説明が面倒になって来たので他の転生者に聞いて下さい」
おいこのクソ神父! 俺がコミュ障で何も文句言えないからって調子に乗ってるだろ!
「毎日のように増える転生者に説明するの辛い」
それがお前の仕事だろ! 俺に愚痴んなよ!
「隣の建物に転生者どもの専用の集会場があるので、後は転生者同士仲良くしてください」
こいつ絶対転生者見下してるだろ!
「では最後にこれを」
クソ神父が懐から何かを取り出した。手鏡?
「名前だけでなく容姿もまた転生後のものとなっています。さあ、新しい自分の顔をご確認ください」
俺はクソ神父にムカついてはいたが、自分の顔が気になって素直に鏡を覗き込んだ。
大きな目。
すっとした鼻筋。
きめ細かな白い肌。
そして流れるような黄緑色の髪。
歳は15くらい。
あー……なるほど。俺これ知ってるわ。あれだろ? 漫画とかラノベでは稀によくある属性の。
そこには美少女が映っていた。
どうやら俺はTSってしまったらしい。
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名前 ミョンチー
ステータスロット
(注:ステータスがセットされていません!)
筋力:☆
耐久:☆
速度:☆
魔力:☆
器用:☆
スキルロット
・貧乏性な木こり(ランク2)
片手斧を1つ召喚し扱う事が出来る。
投げた斧がブーメランのように戻ってくる。
・嫉妬深い射手(ランク3)
闇魔法「ダークバレット」を放ち攻撃する。
余剰ステータス
なし
余剰スキル
なし
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