第25話 マグマダイブ!
ボスがついに奥の手を繰り出してきた。ダンジョン全域に魔法陣が出現、直後吹き荒れる業火。
これが火炎極大魔法。わずかに生えていた草すら灰となり、もともとの荒地からさらに命が失われていく。
ケムシン、大丈夫かなぁ……
この魔法に耐えられるとしたらケムシンだけだ。あいつのダメージ無効は発動条件こそキツイものの、それを覆すほどの有用性を持っている。
とはいえやっぱり心配だ。ダメージの無効化にも限度があるかもしれない。そうでなくても熱さに苦しんでいるかもしれない。ホスディアが言うにはケムシンは苦痛を感じなくなっているそうだが……。
炎が濃過ぎて中の様子が見えない……。
「やはり心配か?」
「え、ホスディアさん!? どうしてここに?」
第1班は2度目の突入で全滅しているはずじゃ?
「俺は速度☆1だ」
「ああ、そういう……」
復帰が遅くて置いてかれたのか。よくそれで班長務まったな。俺たちの作戦意外とガバガバなのか?
ダンジョンは燃え続ける。その間に死んでいたメンバーが次々と復帰して来た。
「炎、収まりませんね……」
「ケムシンが生きている証拠だな。というかいい加減タメ口でいいぞ?」
「あ、分かり……ゴホン。分かった」
横目でホスディアの顔をうかがってみる。俺のタメ口に気を悪くして無いな? 無いな。
「炎が弱まってきたな」
ケムシン、無事で居てくれ!
炎が晴れていく。そしてダンジョンの全貌があらわになった。それを見て思わずどよめく転生者たち。
「マ、マグマだ!」
「溶けてやがる!?」
「ケムシンが浮いてるぞ!」
「死んだか!?」
縁起でも無い事言うんじゃねえ!
「俺は無事やあああああ!」
「あ、生きてる!」
よかった。ほんとによかった……。
「気を抜かないでください!」
ケロンチョが声を張り上げた。
「ボスが生きてます! ケムシンさんが時間切れになる前にとどめを!」
指をさすケロンチョ。ダンジョンの中央には溶けてない地面が僅かに残っており、そこにボスが立っていた。
「突入!」
「ど、どうやって?」
「地面マグマだぞ!?」
「入ったら死ぬだろ!」
躊躇する転生者たち。なにしろ極大魔法から後は初見だ。ここに来てアドリブ力の無さが露呈してしまった。俺もだ。
「うろたえるな!!」
ホスディア!?
「ボスを見ろ! マグマに囲まれて身動きが取れていない! 魔法を撃てば当たるぞ!」
た、確かに!
「死んで元々! このチャンスを逃すな!」
「「「う、うおおおおおお!」」」
やってやる! マグマダイブだろうが何だろうがやってやるぞっ!
「前衛、突入!」
「「「え!?」」」
魔法は?
「いいから行け!」
「「お、おお!」」
訳も分からず突入する近接組。
「あっ! 溶けてるの表面だけだぞ!」
「熱いっ!?」
「でも歩ける!」
直後近接組はまとめて真っ二つにされた。遠隔斬撃だ。
唯一生き残っているのは斬撃を避けたシリルさんだけだった。
「今だ! 後衛突入!」
な、なるほど! ホスディアはこれを見越していたのか!
ボスはもう超加速は使えない。遠隔斬撃を吐かせればしばらくの間は何もできないんだ!
「「「うおおおおお!」」」
状況を理解して飛び込む魔法持ち。状況は理解できずとも空気を読んで突入する魔法持ち。意味もなく突入するその他全員!
俺もまた突入し、指でっぽうを構えた。
異変が起きたのは、その瞬間だった。
あれ!? なんだコレ?
体が、体が動かない!




