第24話 変☆身!
超加速状態のボスに外周を削られた第1班。だがその内側で守られていた魔法職5人が一斉に躍り出た。
「ファイアーストーム!」
「竜吐息!」
「プロ―ジョン!」
「焔村!」
「三尺玉!」
あの5人はパーティー「火葬研」。女性転生者が集まった結果結成されたパーティーでボス攻略にも至っている。パーティー名の由来は、誰も近接したがらなかった結果全員魔法職を選んだが火属性ばっかりになったため。
この5人は全員が範囲攻撃スキルを持っている。ボスに確実にダメージを与えるには最適の人選だ。ボスは素の状態でも結構速いため、単体攻撃だと避けられるのだ。
爆炎がボスを包み込む。だがすぐに炎を突っ切ってボスが出てきた。遠隔斬撃発動。第1班は全滅した。
入れ替わるようにして突撃していくのは第2班。コンセプトは先ほど同様。残りの耐久勢が範囲攻撃持ちをダンジョン中央まで運び、そして超加速が切れたボスに範囲攻撃をお見舞いする。
こうしてまたボスにダメージが積み重なった。
なぜ魔法職をダンジョン中央に送り込むのか。それは、今までに判明したボスの特性に深く関係していた。
以前作戦で、ボスをダンジョンの縁におびき出そうとした事がある。おとりを端っこに立たせ、そして数歩離れたダンジョンの外で近接勢がボスを待ち構えたのだ。
だがボスは超加速の間しか端っこに来なかった。まだおとりに生き残りが居たとしても、ボスが再び姿を現すのはダンジョン中央だったのである。
そこからボスがダンジョンの外も認識している事、そしてある行動パターンをとると判明した。
ボスは超加速が切れたときに、できるだけ安全な場所、つまり転生者が近くに居ない場所に陣取るのである。
最初の作戦では、魔法持ちがダンジョンの縁からボスを狙った。だが魔法が届くよりも先にボスが再加速。雨あられと飛ぶ魔法はすべて避けられてしまった。
広いダンジョンの中央に居るボスは、端っこから狙い撃つには遠すぎたのだ。
だから魔法職を中央に輸送する。無論ボスも安全な場所を求めて移動するが、その場所は遠すぎると言う程ではない!
後あれだ。このボス、回避に特化したせいで意外と紙装甲。命中さえすればダメージは通る。50人分の火力を合わせる必要はあまりないのだ。
さて、そろそろ俺の出番だな。
ボスが遠隔斬撃を放った。第2班、全滅! だがスピード班のシリルさんが生き残っているため戦闘は続いている。
今までの作戦で高耐久勢は全滅した。町から復帰するまで早くても数分はかかる。第1班、第2班が復帰したら、先ほどの攻撃を繰り返す作戦だ。
そして、それまで時間を稼いで全滅しないようにするのが俺たち「その他班」の役割だ!
時間稼ぎの方法は単純。戦力の逐次投入である。
その他班60人(←!)が3グループに別れ、3方向からまばらに突入し続ける。突入するタイミングは自分の前の奴が死んだら。
これにより3方向に1人ずつ転生者が侵入しているという状況が生まれる。
ボスはダンジョン中央に陣取るため遠隔斬撃では最大2人しか範囲に入らず、超加速では広いダンジョンを無駄に走り回らせる事が出来るため死者を数名に抑える事が出来るのだ。
そう! 俺たちは殺され隊! 俺の出番だ行くぜ!
「うおおおおお――きゃん!」
俺、突入して5秒で死亡。
「ひあああああっ!?」
教会で復活した俺。殺されたショックで悲鳴を上げつつも即座に飛び起きダンジョンへとダッシュした。呼吸が荒いのは息切れしたからじゃないぞ? 殺されたことによる精神的疲労のせいだ。
走りながら思う。時間稼ぎは順調だろうか。60人がかりでも第1班の復帰が間に合うかは微妙なラインだ。
一応その他班が全滅した時に備えて隠密持ち数名がダンジョン内に隠れ潜んでいる。だがあのボスは感知能力も持っているため過信は禁物だ。
今俺に出来る事は少しでも早く復帰することだ。速度☆3の性能を最大限引き出してみせる! 沈んでいく太陽よりも早く走れ!
うおおおおお!
ダンジョンに到着! 戦況は!?
「撃てえええ!」
チュドーン!
あれは……第2班だ! 第2班の魔法がさく裂した!
時間稼ぎは成功していた。そしてボスに4度目のダメージ。
正直不安だったんだよな。なんせこの時間稼ぎの方法はこれが初めてだったから。前回は別の方法で時間稼ぎをしたが、そのせいでボスの次の攻撃で全滅した。
4度魔法を喰らい、ボスにはかなりのダメージが蓄積されている。HPゲージがあれば真っ赤っかだろう。追いつめられたボスが奥の手を繰り出してくる。
ボスの最後の能力、「火炎極大魔法」
簡単に言えば、ダンジョン全域を燃やし尽くすマップ攻撃だ。ボスを中心に炎の台風が巻き起こる。これの前には耐久☆5だろうが防御スキル持ちだろうが耐えられない。
だから今回の作戦で俺たちは、あいつを今まで温存した。前回の作戦ではあいつが時間稼ぎで殉死したせいで魔法で全滅したが、今回は違う。
もう誰も、お前を役立たずだなんて言わない。
「行くでぇ! 変☆身!」
ケムシンがダンジョンへと突入した。




