第2話 転生者って、転生する者って意味かよ!
「ようこそ、新たな転生者よ。チュートリアルはこれで終了ですぞ」
気が付くと俺は教会みたいな建物の中にいた。尻もちをついている俺を神父っぽい老人が見下ろしている。
一体何が起こったんだっけ?
神様にチート貰って異世界転生したはずがドッペルゲンガーに殺された。うん、意味わからん。
「混乱しているようですな。無理もない。他の転生者も皆最初は同じような顔をなさる」
なんだこの神父。何か知ってるのか?
「そんなあなたにたった今御神より啓示が下りましたぞ。『バーカ。騙されてやんのw』との事www」
なんだこいつすっげームカつく! つーかそれ本当に神が言ったのか!? 全然口調が違うじゃねーか!
「あ、あなたは……誰、ですか」
人と話すなんて久しぶりだ。ただし神は除く。俺こんな声だったっけ?
「私はこの教会を管理している者ですぞ。あなたからすれば、この世界の水先案内人と言った所ですかな?」
「あ、案内人?」
「さよう。転生者に道を示すのが我らの役割ですからな。あなたの疑問に答えて進ぜよう」
神父はそう言うと、いかにも神って感じで祀られている石像の前に移動し一冊の本を取り出した。
なんだあの本。聖書か?
「えーっと……マニュアルの第二章第一項っと」
マニュアルかよ!
「えー、新参者への説明事項」
新参者て……
「まず、あなたはまだ転生していません」
え、転生してないの? 転生者なのに?
「ここはあなた達転生者にとって、死んでから転生するまでの中間の世界です」
転生者って、転生する者って意味かよ!
「転生するためには、ボスを倒さなければなりません」
ボスって何だよ!
「ボスは転生者一人につき一体ずつ、その者の欲望を元に生成されます」
欲望って……まさか……
「ボスにはその者の望んだチートが搭載されています」
やっぱりさっきのがボスかよ!
「なおチートを授けるという話は嘘ですので、この世界でも転生後でも得ることは出来ません」
ふざ……っ、おまっ、ふざけんな!
「転生者は何度死んでも教会で復活します。安心してボスに挑める仕様です。転生を目指して精進しましょう」
するか! こっちはチートが貰えるっていうから喜んでたんだよ! チートが無いのに転生なんてしたくねーよ!
「続いて第二項、操作説明」
つーかチートが無いのにどうやってボスを倒すんだよ! せめてスキルとかステータスとか無いと戦えねえよ!
「ステータスと唱えてみてください」
ステータスあるんかい!
「ス、ステータス」
俺がそう言うと、目の前にゲームウインドウみたいのが現れた。おおっ、マジか!
「ステータス画面にはあなたの情報が記されています。試しに名前を確認してみましょう」
促されるまま、俺はステータスの一番上の項目を見た。そこには遠野正平という俺の名前が――
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名前 ミョンチー
ステータスロット
(注:ステータスがセットされていません!)
筋力:☆
耐久:☆
速度:☆
魔力:☆
器用:☆
スキルロット
(注:スキルがセットされていません!)
余剰ステータス
なし
余剰スキル
なし
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いろいろ気になる部分は多いが、
「ミョンチー?」
「御神の粋な計らいとして、本来なら転生するまで分からない来世の名前が登録されています。転生への期待が高まりましたね」
高まんねーよ! って事は俺転生したらミョンチーって名前になるって事か!? どんな名前だ!?
「中略。ではさっそくスキルガチャを引いてみましょう」
中略って言った!? この神父今中略って言ったぞ! え、ガチャ!?