第17話 木偶の坊
「行くぞ!」
「「「おう!」」」
俺たちは一斉に大樹のダンジョンに突入した。そして木へと駆け寄った俺は間髪入れず斧を打ち込む。
カコーン! と斧の音が鳴った。同時に落ちてくる大量のリンゴ。
「ケムシンは右! デップリンは真ん中だ! 俺は左を守る!」
ホスディアの指示に従いケムシンとデップリンがフォーメーションをとる。3人と木の幹で俺を囲う位置取りだ。
守ってもらってる内に早く切り倒さないと!
「てりゃ!」
斧スイング!
よし! ちゃんと刃が通る!
「トレントが来るぞ! 一匹も通すな!」
「了解や!」
「うわっ、キモ! 来るな!」
俺の後ろでは3人とトレント達が衝突した。バキバキと枝を折る音が聞こえてくる。
斧スイング! 斧スイング! 斧スイング!!
幹の直径は3mくらい。ただ横向きに切り進めても刃が奥まで届かなくなるため、刃を斜めにも入れて削り取る必要がある。まだまだ時間がかかるぞこれ!
いや、大丈夫! トレントは弱い! 後ろは気にせず俺はただ早く木を切り倒すんだ!
みんなが守ってくれる! 落ち着いて自分の役割をこなせ!
「おりゃああああああ!」
斧スイング! 斧スイング! 斧スイング!!
丘に木こりの音が響き渡っていった。
俺はがむしゃらに斧を振り続けた。それにより斧は遂に幹の中心近くまで到達。作戦は順調に思えた。
「ぎゃああああ!? 痛えええええ!」
デップリン、負傷。
「落ち着けデップリン! 皮膚を切られただけだ! 傷はたいして深くない!」
「痛いいいいいいい!!」
ホスディアの鼓舞も虚しくデップリンの悲鳴が続く。その叫びに俺はつい後ろを見てしまった。
絶句した。
ホスディアが全身血まみれになっていた。
「デ、デップリンさん! ホスディアさんがヤバい! 回復してください!」
「ヒール!」
「ちょ!?」
デップリン、貴重な回復魔法を自分に使いやがった!
「こんな痛いなんて聞いてないぞ! ミョンチー、僕と交代しろ!」
「はあ!?」
デップリンが木を斬りつける。その剣は幹に浅くしか食い込まなかった。
「剣じゃ無理ですよ! それより2人に加勢してください! このままじゃ2人とも持ちませんって!」
「それより早く切り倒せばいいんだろ! 僕に指図するな!」
このクソ肥満野郎!
「俺は大丈夫だ! 良いからミョンチーは斧を振れ!」
ホスディアが声を上げた。
「お前は絶対守り切る! こっちは気にするな!」
「しもうた! 一体そっちに行ったでミョンチー!」
守り切れてねえええ!
「デップリンさん! 迎え撃ってください!」
「断る!」
トレントが来た! ヤバい! 今斧が幹に食い込んでるんだよ!
トレントが俺を引っ掻いてきた!
「ぐふっ!」
「ホスディアさん!?」
割り込んできたホスディアがトレントの攻撃を受け止めた。血まみれなのがもっと血だるまになる。
「俺は自力で回復できる! 心配不要だ!」
「こっちもしばらくは持つでえ!」
ケムシン、ホスディア……!
頼むっ!
「おらああああああ!」
俺の会心の一撃が幹をえぐった。木が大きく揺れる。
「良いぞミョンチー! もうすぐ倒れる!」
「黙れデブ!」
「へ?」
言ってやったぜ。
もう一撃!
「っらあ!」
ガコーン! ミシミシミシ!
「ケムシン、ホスディアさん! 気を付けて! 倒れます!」
「「了解!」」
木が傾いていく。俺たちは潰されない場所へと避難した。
ズドーン……
「やったか!」
「やりましたかね?」
「まだ生き残りのトレントが居るぞ! 気を抜くな!」
俺たちは残ったトレントを打ち倒していった。倒れた木が新しいリンゴを落とすことは無く、すぐに片が付いたのだった。
大樹のダンジョン、クリア。




