第15話 無限リンゴ爆撃
「多分あの木だな」
「でっかい木やなぁ」
俺たちは小高い丘を登っていた。丘の頂上には大樹。まるで傘のように枝を四方に伸ばしている。某不思議を発見する番組のテーマソングを歌いたくなるような光景だ。
「なんかピクニックにでも来た気分になるなあ」
気持ちは分かる。のどかな景色だもんな。
「今からやるのはモンスターとの殺し合いだけどな」
「そうやったわ」
さあ、ダンジョン攻略開始だ。
~大樹のダンジョン~
区分 :ノーマル
タイプ:大樹
人数 :4名以下
難易度:☆☆☆
でだ……
「敵ってどこだ?」
「木の上にでも居るんやろか?」
ケムシンの言葉につられて見上げると、そこには無数に実った果実が見えた。リンゴっぽい見た目だ。くそ、無駄に食欲を刺激される!
枝の上に敵の姿は無かった。
「木の洞とかあるのかな?」
木の周りを一周してみると根元に小さな祭壇があった。間違いなく今までのダンジョンにもあった様式の祭壇だ。ここがダンジョンなのは間違いなさそうだが……
「痛っ!?」
「どうしたケムシン!?」
「大丈夫! リンゴが落ちてきただけや」
見ると、ケムシンの足元にさっきの果実が転がっていた。それがケムシンの頭に命中したらしい。
「なんだ、驚いた」
「敵の攻撃かと思ったで」
「お主もまだまだよの……痛っ!?」
なんだこの木! 冗談を言ってたら俺の頭にも実が落ちてきたぞ!
「ミョンチーよ、修業が足りんのう。……ぷっ」
「むう……!」
「あはははは! この木コントの才能あるで!」
木をバンバンと叩くケムシン。どうやら妙なツボに入ったらしい。
「おいおいケムシン、ダンジョンでそんな油断して……たら……」
俺は目撃した。
足元のリンゴから芽が出てみるみる成長したかと思うとそのまま歩き出した光景を。
「て、敵だ!」
それは言うなれば人間サイズのトレントだった。俺はとっさに斧を振り回す。
斧を受けたトレントは倒れ、物言わぬ木片となったのだった。
「敵や!」
ケムシンの悲鳴が聞こえた。ケムシンもまたトレントに襲われていた。
まさか……
俺は木を見上げた。そこにはさっきも見た無数のリンゴ。
それが、次々と落ちてきたのだった。
斧スイング! 斧スイング! 斧スイングッ!!
「くそっ、倒しても倒してもキリがない!」
「いつまで落ちてくるんやこのリンゴ!?」
俺たちはトレントに囲まれていた。近づいてくるトレント共を薙ぎ倒し続けてかれこれ30分は経った。こいつら弱いけどクッソ多い!
「このっ、このっ!」
斧を振ると同時に飛び散るのは俺の血。受けた傷から血が出続け、握力もなくなって来ていた。
トレントの攻撃は手の部分によるひっかき。手に茂った葉はまるで剃刀のように鋭かった。一撃喰らえば皮膚がズタズタにされるという恐ろしい攻撃だ。
クッソ痛え! 悪意高すぎるだろ!
「ミョンチー! もうあかん! 死ぬ!」
マズい。このままじゃジリ貧だ。ケムシンはすでにスキルが発動して鎧姿。つまりそのうち戦線離脱するのが確定している。ケムシンが居なくなれば俺も一瞬で群れに呑まれるだろう。
そんなの嫌だ! 恐い! 全身を剃刀の束で引っ掻かれるなんてもはや拷問だ! 美少女がされていい事じゃないだろ!
斧スイング! 斧スイング! 斧スイング!
「キュー……」
ケムシンが死んだ!
斧スイング! 斧……スイング!
スイ……ング……
……
「なあ、ミョンチーは嫌かもしれんけど、一つ提案してええか?」
「なんだ?」
「仲間、探さん?」
「………………そうだな」




