プロローグ 高火力系TS斧使い
そこは日本の墓地を模したダンジョンだった。
ほとんどの墓石は倒壊しており、辺り一帯で燃え立つ黒炎が戦いの激しさを物語っている。
「唖唖っ! 唖唖唖唖唖唖唖唖唖!?」
敵は1体。それまでの激戦でボロボロになった鎧武者である。そいつは言葉にならない叫びをあげながら俺達と対峙していた。
俺以外の仲間は既に満身創痍。武器は折れ、魔力はほとんど残っておらず、血を流し過ぎて立てない者も居た。
だからこそ。
「後は任せてくれ。すぐに決着を付ける」
「ああ、頼む……! お前だけが頼りだ」
俺は身長ほどもある大斧を構え前に出た。太刀を振るう鎧武者と大斧を振るう俺との、最後の一勝負だ。
仲間の1人が俺に付与をかけてくれた。それによって大斧が7色のオーラを纏う。
「もう俺の魔力も少ない。これが最後の付与だ」
「ありがとう。心強いぜ」
斧を構え、俺は鎧武者へと駆けた。
敵は足に大けがを負っていた。立ってはいるものの、まともに移動できないようだった。
それはつまり、間合いに入るタイミングをこちらが決められるという事。
真の脳筋とは、力業で解決するための工夫を怠らない脳筋である。
俺は突進し大きく斧を振りかぶった。迎撃してくる鎧武者。
だが間合いに入る直前に急ブレーキ。太刀の切っ先が鼻先をかすめる。敵が空振りした隙に、俺は間合いに侵入した。
斧をフルスイング。太刀を引き戻しそれを受け止めようとする鎧武者。
俺の斧は破壊力に特化していた。当たれば大抵の敵は一撃で屠れる。ほんの一瞬の時間差が勝敗を決定した。
鎧武者の首に、斧が命中した。
思えば俺も随分と強くなったものだ。神に騙され、この世界に落とされ、逆境の縁に立たされて、
そう、すべてはあの時、白い空間から始まったんだ。
でも俺には仲間が出来た。スキルを得て、強くなって、そしてここまで来たんだ。
万感の思いを込め、俺は叫んだ。
「おりゃああああああっ!」
「唖唖ッ!? 唖唖唖唖唖唖亜唖!」
斧が七色に輝いた。その刃は敵の肉を裂きながら進み、そして完全に断ち切ったのだった。
憤怒のダンジョン、クリア。




