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呪われたぞ 01

 トモエにすぐに相談した方がいいだろうか、とにかく電池切れのスマホを充電しながら……と、ミワは着ていたジャケットに手を突っ込み、徐々に動悸が早くなっていた。


 スマホがない。


 念のために持って行ったリュックも漁ったが、ない。

 そもそも携帯はリュックには入れないようにしていた。

 上着に入っていない、ということは、落としたか。もしくは……


 目玉ババアの家に置き忘れたのか。

 その可能性は十分考えられる。


 ミワはたまらず外に飛び出した。

 LEDの街灯が、飛び飛びに冷たい光を投げかけていた。

 チャリならばすぐ着くだろう、と思ってからはっ、と気づく。

 自転車はあの店に置いて来ていたのだった。

 さすがに、徒歩で目玉ババア宅まで行く気力はない。

 携帯電話がないのでは、どこにも連絡はできない。

 ノートPCも持っていたが、諸設定がまだだった。


 仕方なく、なにも考えないようにしてミワはその晩早めに寝た。

 まず明日起きたら一番に、あの家に戻るしかない、と覚悟を決めて。

 それでも、なにも考えないというのは無理な話だった。

 兄に話したらきっと「スマホ失くしたくらいで眠れなかった? 信じらんねえ」と鼻で笑われるだろうが、そのイヤミな声すら聞くことができない。

 一晩、頼みの綱がないというのはどうにも心細いものだ。


 何かと悪い夢をみて、ひとつも覚えていなかった。

 早朝たまらず起き上がった時には、なぜか寝汗をびっしょりとかいていた。



 まだ七時前だと言うのに(いつもの時計代わりがないのでしかたなく炊飯器の時刻表示を見た)寝なおす気にもなれず、ミワは起き出してシャワーだけ浴びた。

 対決するものは変わっていないのだが、朝の光と熱めのシャワーでやや、気分は持ち直してきたようだ。

 玄関を開け、ミワは大きく深呼吸する。

 山からの冷たい空気が甘く感じられ、手足に力が戻った。

 よし、とミワは顔を上げて、まっすぐに目玉ババアの家に向かった。


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