地元の付き合い 02
それであいさつが済んだと思ったら、今度は次年度の組長宅にもあいさつとなった。
町内会長はそのまま続投だとのことだが、組長は第五組内の一四軒で毎年持ち回りになるのだそうだ。
「川越さんちには、もちろん組長は回しませんけどね」
空家になっているということでトモエの家は組長も免除されていたらしく、次年度の組長となる隣家の富田林という白髪の男は、そこをかなり強調するように何度かそう言った。
「うちの五組はそれでなくても軒数が他所さまより少ないんですがね」
粘りつくような口調が、ミワにはどうにも不快におもえた。
生垣を挟んで隣というのも、何となく気分が良くない。
「まあ、ゴミ拾い活動とか出てもらいますし、不燃物当番とかは、順番でお願いしますからね」
はい、はい、とトモエは自分がやらない気軽さからか、愛想よく返事をしている。
帰り際、小声でトモエに
「でも部活とか入ることになるかも、そしたらできないかもよ」
そう文句を言うと、トモエはあはは、と笑って
「ヘーキヘーキ。『出不足』って言って、出られない時には決まった金額払えば免除されるから」
えっ、と驚いて立ち止まったミワに、トモエはどん、と胸を叩いてみせた。
「その都度言ってくれれば、私が払うから大丈夫だよ」
その言葉を本当に信じていいものか、ミワの憂鬱はますます深くなっていった。




