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異世界で教師することになりまして

今から１００年前。

かの世界は、魔王による侵略を受けた。

度重なる地獄のような日々、世界の住民は逃げ生き延びるか、殺されるかのどちらかしかなかった。襲われた者の死体が転がり、かつて平和と言われた街にはそのかけらさえ残っていなかった。不安に駆られた世界の住民は、とある禁忌に手を出した。

異世界人召喚。

数十人の犠牲を払い、世界を救ってくれるであろう英雄を呼び出したのである。

人々の希望を背負い召喚された英雄は、人間というにはあまりに非人道的で、悪魔というにはあまりに人間味のある人物だった。召喚されたその日の夜に、かの世界に存在しうる全ての力を手に入れた。

魔法、妖精、天使、悪魔。

全てを手に入れた英雄は、一週間で魔王を倒し。その凶暴さに呼び出した人々でさえも恐れおののいた。

英雄の伝説は、やがて美化され物語としてかの世界に根付いた。

それは、恐怖の対象ではなく。

憧れるべき立派な英雄とされた姿だった。

それはまるで。

別人のように。