第1章
僕は23歳にして全てを失った…
結婚の約束をしていた彼女に振られたのだ。
僕は自分の全てを彼女に捧げてきた。
彼女のために頑張り、彼女のために時間を割き、
彼女のために人生設計をしていたのに…
たった一言、
「他に好きな人が出来たから。」
その瞬間僕の世界が崩壊していく感覚がした。
そしてそこからは僕にとって地獄の始まりだった…
何を信じればいいのか分からなくなり、
食事を摂ろうとして何かを食べても
すぐに全て吐いてしまう上に
眠る事が出来なくなり、
精神、身体共に衰弱していったのだ。
それでも社会人なので仕事を休む事すら出来ず
衰弱した状態で無理をして仕事に行っていたのだ。
そんな中事情を知った幼馴染の詩織が
毎日訪ねてきて一緒にご飯を食べてくれた。
最初はそれでも食事を摂ることが
出来なかったのだが、
少しずつ少しずつ、
食べる事が出来るようになっていった。
とてもありがたかった。
だがそんなある日、
今まで無理を重ねていた僕は
通勤の為に電車を待っている時
あまりの睡眠不足で倒れてしまったのだ…
そう…迫り来る電車に向かって…
そして衝突の強い衝撃で
一瞬目覚めると共に僕の意識は…
暗い…暗い…闇の中へと溶けていったのだった…