退屈な悪魔使いと冷え切った夫婦
三部で終わります。短い話を一日で考えたかったので
誤字、内容のおかしいところは指摘してくれたら幸いです。
頑張って短い小説かいたので最後まで読んでくれたら幸いです
「紙代、パソコン代に生活費を削るくらいなら酒でもだせ! 本代だせ!」
男は家賃五万八千円のボロアパートで壁にあたり、妻にあたり鬱憤をはらします。彼には妻帯は辛かったのです。そこまで彼は落ち武者になろうとは思わなかったですよ。
私の金銭感覚と一般人の下位に属する契約社員こと便鱈本太良26歳とでは圧倒的な差があったのかもしれないですね。
おおっと、自己紹介を忘れていました…。私は彼の妻ではない男です。彼の妻は旧姓出世魚穂詩で今は便鱈穂詩である。
で? 私は? ですか。傍観者のデビルサマナーですかね。今は彼らとは次元すら違うところにいます。よくいう異世界です。異世界にも色々ありましてね、永遠の楽土…まあ、天国とでもいいましょうか? 実に快適で過ごしやすい。まあ、デビルサマナーが天国に行けられるか? ってことですがね、便鱈夫妻のいる現実に本来私がビジネスをする場であるのですが…。ちょっと激務に疲れてバカンスしに来ているんですよ。バカンスで行けられるあの世ですね。永久にはいませんが。
「テメエ聞いているのか?」
ガス!
おおっといけない、彼、本太良氏は妻に暴力を振るっています。妻、穂詩さんがなけなしの貯金ではたいたノートパソコンにも蹴りいれます。ダメです! これは、穂詩さんが本太良氏のために面白い小説書いて読ませて喜ばせようとするために買ったパソコン。妻の愛情なのです。以前にもこの夫妻の様子を覗かせていただきましたが、彼は印刷した紙を破ってこう言いました。
「テメエの書くラノベはつまんねぇーだよ!」
今回もですかね…。言いちゃいましたね。流石は私の見込んだ底辺男です。それを傍観してほくそ笑む私はクソ野郎ですかね。だからこそデビルサマナーなんて職業をやっていられるのですが…。
「今回は自信があるのよ。勢いで新人賞にも出しちゃった。でも、一番に読んでほしいのはあなた」
「けっ、俺に固執して読ませようとする意味がわからねえ。アドバイスでも欲しいのか? 賞とるために…。賞にはいりゃ賞金や書籍化で金がはいるがな、テメエは夢見てねえで、パソコンと格闘している時間があればもう一つ仕事にいけよ」
穂詩さんはシュンとします。少しの間ですがね。
一つ、言っておきましょう。貧困の問題は本太良氏が高校を卒業して26歳までに仕事を十回変えてきたところにあります。無職の時もありました。
浪費グセが悪く新車を三回も買い替えました。最後には愛車も生活費に変えるべく泣く泣く売りました。さほど使っていない車なのに人気もなく手入れも悪く五十万円も行きませんでした。本人は百万近く行くと思いショックで穂詩さんにはあたりましたし、ヤケになって外で遊ぶ金に大半は使い込んでしまいました。せめて穂詩さんと遊びにいく旅費にでもすればいいのに…。
それと、彼は掛け持ちで仕事にはついていません。穂詩さんにどうこうと言える立場でもありません。そもそも、穂詩さんが稼いだお金の大半は酒代やら重課金のゲームとやらに消えていくのです。
それでいて…。
「あ~あ、今日も無駄な仕事時間に無駄なゲームの課金、こんなことして過ごすなら本でも読んでいたらよかったぜ」
「だったら、私の執筆した小説読んでよ。面白んだから! お金もかからないし」
「テメエの小説はカスだ! それより早く飯をだせよ」
「絶対に面白いのに…。はいはい、食事を用意するね」
「早く、しろよ」
困ったものです。便鱈夫妻は周りの反対を押し切って18歳で結婚してから、一ヶ月で冷め切っていた。
しかし、妻の穂詩は夫の本太良に愛情は変わっていない。今でも本太良氏にどう振り向いてくれるかで必死です。ライトノベルを書き始めたのも、学生時代に彼が愛好していたのを知っていたのです。彼に近づきたい。彼に喜んで欲しい。その思いで彼女は読んだことがないライトノベルを漁りました。今では彼女の方がライトノベル好きです。
彼はというと、気になって本を買えば置きっぱなしで積み本状態です。穂詩さんが購入した本と被ると無駄遣いするなと叱る一方です。
この、夫妻はコミュニケーションがほとんどない。結婚するまえに付き合ったこともない。どうしてこんな夫婦が結婚したのか? どうして別れのないのか?
――――――――――私が、悪魔の力を使って二人をくっつけたからである――――――――――
「フフフ」
「なにがおかしいのだ? シークレットワイズよ」
「なんの張り合いもない世界で楽しみを共有するべき二人が地獄の氷結地獄より冷めているではないですか」
「ふん、そんなもの、私は沢山見てきたぞ。久しぶりに故郷に帰ってきたのにお前のくだらない遊びに付き合せやがって」
「すみませんねえ、でもこれはあなたと私の契約です。いまはまだ、穂詩さんの愛情を冷めさせないようにしてください」
「人間の悪魔と呼ばれる、シークレットワイズとあろう者が他人の生活を覗いて愉悦に浸るとはな…」
「いいじゃないですか」
「天使でいても悪魔に堕ちても職務と労役嫌になるぜ」
「それは、人間の世界でも同じです。こうやって自分の趣味に没頭していると嫌なことも忘れられます」
「ひねくれた奴だな…」
「それは、ベルフェゴールあなたも同じです。」
そして、地上にいる人間全てが!